タブレット端末の教育利用がいよいよ本格化してきた。東京都荒川区が、2014年度に区内の全小中学生にタブレット端末を1人1台ずつ配布することを発表した。2013年度には小学校3校でモデル事業を始め、運用方法を検証するという。東京都内で児童・生徒全員にタブレット端末を配布するのは初めての試みなので、ほかの自治体に大きな刺激を与えるだろう。
荒川区の構想では、教員が操作する電子黒板と児童・生徒のタブレットを連動させるようだ。電子黒板の画面を手元のタブレットで見られたり、子供がタブレットに入力したものを電子黒板に映して共有したりできる。50型の電子黒板の画面は教室の後ろの子が見るには小さいので、手元で見られるのは効果的だ。また、子供たちの学習状況に応じた問題提示や解答の記録・集計を自動的に行うなど、個に応じた指導が可能になる。
学校以外にも、通信教育の世界でタブレット利用が広がりつつある。通信教育のテレビCMで、子供たちがタブレットを使って家庭学習をするシーンをよく見かけるようになった。
2013年1月10日にシード・プランニングが公表した「タブレット端末の市場動向とビジネス活用事例」によると、調査で把握した200の業務事例におけるタブレットの総導入台数は32万6500台。このうち、生徒・学生に端末を配布する教育分野での利用が最も多く、全導入台数の35.3%を占めたという。タブレットの教育利用が本格化しつつあることを裏付けるデータといえる。
ところで、タブレットといっても2種類あることを確認しておきたい。
一つはタブレットPC。簡単にいえば、回転式のタッチパネル液晶を搭載したノートパソコンだ。総務省が全国で実施した実証研究「フューチャースクール推進事業」で利用していたタブレットはこれである。荒川区が導入するタイプもこちらのようだ。キーボードがあるので入力はしやすいが、持ち運ぶには少々重い。OSはWindowsが多い。
もう一つは、iPadのような純粋なタブレット。恐らく読者がタブレットと聞いてイメージするのはこちらのタイプだろう。OSは、米アップルのiOSか、米グーグルのAndroidだ。持ち運びを考えたら圧倒的に優位だが、キーボードは画面上のソフトウエアキーボードなので、入力のしやすさでは劣る。
後者は、Windows用のソフトが使えないのも惜しい点だ。ただ、最近はWebブラウザーで動かすソフトが増えてきたので、それらはOSを超えて利用できる。デジタル教科書といわれる教材も多くはWebブラウザーで動かすようになってきている。