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 先日、日本教育工学会の「産学協同セミナー」に参加し、KERIS(韓国教育学術情報院)のCHO KYUBOK先生のお話を聞く機会がありました。日本の教育の情報化にとってたいへん示唆に富む内容でしたので、紹介したいと思います。韓国では、国や教育現場で、どのようにICT(情報通信技術)を活用しているのでしょうか。2015年までに全ての小中高校に導入される「デジタル教科書」についてや、“児童生徒に1人1台”の状況、教師たちのICT活用などを中心にまとめました。

KERIS のCHO KYUBOK先生。デジタル教科書の活用とその効果、サイバー学習の活用実態など、韓国内外における教育情報化政策について研究・提言をしている。韓国で大学を卒業した後、東京外語大学で修士号、東京大学で研究生活を送ったあと、広島大学で博士号を取得
KERIS のCHO KYUBOK先生。デジタル教科書の活用とその効果、サイバー学習の活用実態など、韓国内外における教育情報化政策について研究・提言をしている。韓国で大学を卒業した後、東京外語大学で修士号、東京大学で研究生活を送ったあと、広島大学で博士号を取得
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デジタル教科書に先立つ「e-教科書」

 韓国における教科書のデジタル化の流れは2つあり、一つは2011年から始まった「e-教科書(e-Textbook)」で、もう一つは2014年から始まる「デジタル教科書」です。e-教科書は、紙の教科書をデジタル化することで、だれもが持ち運びに便利な教科書を手にすることができるようにということで開発されたもので、現在、小中高の児童生徒が無償で利用できます。一方、デジタル教科書は現在開発中のもので、一部の先導的なパイロット校を中心に開発と並行して試験運用が進められています。ちなみに、日本では「指導者用」と「学習者用」と区別のあるデジタル教科書が、韓国では区別がないとのこと。

韓国におけるe-教科書とデジタル教科書の展開。e-教科書の方が早い段階から導入された
韓国におけるe-教科書とデジタル教科書の展開。e-教科書の方が早い段階から導入された
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