鳥が好きだ。
この場合の鳥は、赤ちょうちんの焼き鳥ではなく野鳥である。まぁ焼き鳥の次くらいに野鳥が好きだ。なので三度の飯より野鳥が好きというわけではない。野鳥に特に詳しいわけでもなければ、バードウォッチャーでもない。しかし小さい頃から野鳥がなんとなぁく好きなのである。
キャンプに出かけると森をぼんやり眺め、木の枝から枝へ飛ぶ鳥を探して見ているし、仕事で地方に行ってもホール楽屋の裏が木々に囲まれているとついつい静かに眺めて、鳥の鳴き声が聞こえてくるとうれしいのだ。
最近、その傾向が強くなった。四十を超えたからなのか、都内のごちゃごちゃした場所にも関わらず、ウチのベランダに時々ヒヨドリがやってきたからなのか分からない。生米を置いておくとスズメが常連となった。
楽屋や仲間など野鳥の話をすると、思いのほか野鳥好きが少なくないことにも驚いた。普段からいきなり野鳥の話にはならないのだが、「最近野鳥が気になってぇ~」と話すと「オレも実は昔から~」とか「ときどき野鳥公園行ってるんだよ」という人が多いのだ。中には、「なるほどぉ。鳥だけに木になっている~わけだ」と落語のサゲみたいなことを言う先輩がいたり話は広がる!? ばかり・・・。
そんな中、新作落語の大先輩であり、このコラムの三遊亭白鳥師匠の師匠でもある三遊亭円丈師匠と話したときには喜々として野鳥を語ってくれた。そしていつでも野鳥にエサをあげられるようにと、手のひらサイズくらいの袋に鳥のエサを入れて持ち歩いていたのを見せていただいたときにはビックリした。
目黒にある国立科学博物館附属自然教育園に行くと都内の野鳥がほとんど見られる。僕などは、どの鳥がどの鳴き声というのを確認する前に鳥が飛び立ってしまうのでモタモタしてしまうのだが、あまり考えずぼんやり聞いているだけで楽しい。ウグイス、メジロにシジュウカラ……これくらいだったらなんとなく分かる……ハズ。メジロとウグイスは色が似ているので分かりづらいが、僕などに見られているソレはだいたいメジロである。ウグイスだ! と思ってもメジロだったりする。いやぁまだまだだなぁ。なんとこの公園にはカワセミが現れるのだ。都内を離れずともカワセミがすぐ近くにいるのがうれしい。
メジロには思い出があり、小学生の頃住んでいた鹿児島県の長島という島では子供たちの間でメジロ捕りがはやっていた(現在は、一般的に野鳥の捕獲も飼育も禁止です。遠くから双眼鏡で眺めましょう~)。当時は、休日になるとトリモチを棒の先につけて、裏山に出かけメジロを捕獲するのだが、まったくもってうまくいった試しはなかった。仲間でも捕まえられる人もほとんどいなかったのだが、どうしてはやっていたのだろう?
もっともメジロやウグイスなどは江戸時代から野鳥を飼育したり鳴き声を競った道楽があったくらいで、相当に人を魅了する力があるのだろう。いや、季節を感じさせたり、ワクワクさせたりと声で惑わしている!? のかもしれない。