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 やっぱり、こういうことが起こるか……。そう思ったのは2013年5月5日の日曜日、サンフランシスコのミッション地区で「町の高級化反対のための住民集会」が開かれたというニュースを読んだ時だ。

 この住民集会は、それほど組織化されたものではないらしく、道路脇で40人ほどの人々が集まってグーグルの通勤バスの模型を壊す、というデモをやったということだ。バスの模型は魚釣り竿の先に吊るされ、目隠しをしたもうひとりの男性が、スイカ割りよろしく棒でバスをたたき壊すという趣向だ。

 この集会が危険なものに発展しないかどうかを、警察が周りを囲みながら観察していたらしい。というのも、ちょうど1年前、同じミッション地区で暴動が起こり、いくつかのおしゃれな店やギャラリーの窓ガラスが割られて、「ヤッピーは出て行け」というグラフィティーの落書きが残されたという事件があったからだ。(「ヤッピー」はyoung urban professional=高収入を得ている都会の若者を指す俗語)

 今回はそれほどの騒ぎにはならなかったが、スイカ割りが終わったところで警察が解散させたということだ。だが、何かしら問題の火種が少しずつ大きくなっているのを感じずにはいられない。

サンフランシスコ市内がIT企業勤務者に人気

 以前書いたことがあるが、現在、サンフランシスコ市内はテクノロジー企業に務める若者にとって人気の住所になっている。サンフランシスコは以前からオールドマネーのお金持ち、つまりホテル業や金融業など「従来型ビジネス」でお金を儲けた人々が住む場所になっていた。テクノロジー企業の存在はそれほど大きくなかった。

 ところが、ここ7~8年のことだろうか。ツイッターなどの新しいテクノロジー企業が拠点をサンフランシスコ市内に置いて創業しだした。サンフランシスコ市当局もそれを歓迎していろいろな優遇策を講じ、これがさらに新興企業を集め、といった循環が起きた。