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 筆者が無線LANを使い始めた頃、近所にはアクセスポイントはありませんでした。その頃の無線LANの規格は単にIEEE 802.11と呼ばれていて、10MbpsのIEEE 802.11bが制定される前のことです。このとき802.11に準拠した場合は最大1~2Mbpsで、メーカーの独自仕様で最大10Mbpsを実現するような時代でした。このため、メーカーが違えば10Mbpsでの通信はできず、たとえ近所にあっても分からなかったのかもしれません。ですが、802.11bが出たときも近所にアクセスポイントは皆無でした。

 その後、802.11bの製品が普及するにつれて、一般家庭に普及が始まります。特にブロードバンドルーターと組み合わされることが多く、現在では、アクセスポイント単体製品は、数が少なく、多くがルーターと組み合わさったものになっています。

 普及するにつれて、いろいろと問題も起きています。例えば、筆者宅はマンションなのですが、隣近所のアクセスポイントが見えるようになりました。特に到達距離の長いIEEE 802.11nが普及してからは、常に数個のアクセスポイントが見えています。

 高層マンションなどでは階数によっては、同じ建物内だけでなく、向かいの建物のアクセスポイントが見えてしまうこともあります。自宅ではありませんが、筆者は、米国のホテルで高層階に泊まったときに、ノートパソコンが30個近くのアクセスポイントを表示したことがあります。

 古い話ですが、2004年にマイクロソフトのイベント「WinHEC」で行われた基調講演で、Windows XPで無線LANのデモを行おうとしたところ、会場内に持ち込まれた多数のノートパソコンがアドホックのノードとして表示され、デモが失敗したことがあります。その後、マイクロソフトのイベントでは、基調講演のときに無線LANをオフにするようにというアナウンスが行われるようになりました。

アクセスポイントが多いと転送速度に影響が

 現在でも、多数の人が集まるイベントなどでは、多くのユーザーがモバイルルーターなどを持ち込んでいるため、多数のアクセスポイントが見えてしまうことがあります。こういう場合など、アクセスポイントが多いという表示上の問題だけでなく、利用チャンネルが重なるために転送速度が落ちてしまうこともあります。

 最近の無線LAN搭載ルーターでは、起動時にスキャンして空きチャンネルを自動的に選択することができるようですが、常にスキャンして周波数を変更するわけではなく、たいていは起動時に空いているところがあれば、そこを使うようにするだけのようです。また、パソコンなどの無線LANのスキャンを見ていると分かりますが、アクセスポイントがあるときは見えたり、あるときは見えなかったりします。このため、起動時には、見えなかったアクセスポイントと衝突してしまう可能性もあります。古い無線LANルーターやアクセスポイントでは、チャンネル指定が固定のものもあり、デフォルトのまま利用しているユーザーも少なくありません。

 こうしたこともあり、ご近所で無線LANのチャンネルが、衝突してしまう可能性もあります。転送などの頻度が高くなければ、これでもいいのですが、場合によっては、「どうも無線LANが遅い」といったことになりかねません。