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 日経パソコン編集部は2013年7月2日、電子書籍『10年後の教室』を発行しました。教育とICT Onlineで連載していた、東京大学大学院情報学環の山内祐平准教授によるコラム「10年後の教室」(2012年4~9月に連載)をベースに、新たな調査研究を加えた完全オリジナルの電子書籍です。日経BPストアで購入できます。

日経BPストアの『10年後の教室』の販売ページ。iPhone/iPadでは「日経BPストアMy本棚ビューワ」、Androidでは「日経BPストアアプリ」を利用して読む
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 山内氏は同コラムの中で、世界各国で進められている教育関連のプロジェクトや研究成果を紹介しながら、ICT(情報通信技術)を活用した新しい教育のあり方を示しました。その内容に、新たな調査研究を加えて本書を執筆したのは、東京大学大学院情報学環の教育部研究生7名です。山内氏による2012年度後期授業「情報社会論研究指導(教育と情報)」に日経パソコン編集部が協力。受講した7名の学生が、調査と発表、ディスカッションを繰り返しながら、最終的なリポートにまとめました。山内氏の指導・監修の下、国内外の事例や研究を紹介した彼らのリポートは、ICTが導く教育の未来像を示唆するものといえます。

iPadを横向きにして見開き表示にしたところ。ピンチアウト/ピンチインの操作で、文字のサイズは拡大/縮小できる
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 本書は、以下の7章で構成されています。

「21世紀型スキル」~今はない職業への準備

 21世紀を生きる子供たちに必要な能力は何でしょう。それを体系的に整理する動きが広がっています。代表例は、ATC21Sという国際組織が定義した「21世紀型スキル」。イノベーションとグローバル化によって生じる急激な社会変化に対応するために、21世紀型スキルを養うための教育が求められています。教育部研究生1年の細川雅史さん(肩書は執筆当時、以下同じ)が、21世紀型スキル教育の実践例や普及への課題を示しました。

「反転授業」~授業は宿題に、宿題は授業に

 「反転授業」という新しい教育手法が登場し、学校のあり方を変えようとしています。長年続いてきた「学校で授業を受け、家で宿題をする」という形を180度ひっくり返し、「授業は家で受け、宿題でやってきたような応用問題は学校でやる」という形に変えたものです。インターネットを使った無料の講義動画サービス「Khan Academy(カーンアカデミー)」などの登場が、反転授業を普及させるきっかけとなりました。その効果と可能性について、教育部研究生2年の相澤まり江さんが解説しました。

「オープン教育」~世界最良の授業はウェブから来る

 世界の一流大学の授業が、インターネット上で無料で受けられる「MOOC(大規模公開オンライン講座)」が急増しています。通常の授業のように宿題やテストがあり、修了証がもらえる本格的なオンライン授業です。ICTを活用し、教育に関する資源に誰でもアクセスできるようにしようという考えは、「オープン教育」と呼ばれます。教育部研究生1年の風間正弘さんが、スタンフォード大学や「Coursera(コーセラ)」のオンライン授業を受けた体験談とともに、MOOCの現状やビジネスモデルなどを明らかにしました。

「デジタルポートフォリオ」~Facebookが入試の選考資料?

 米国の大学の約70%が、入学候補者の選考資料としてFacebookを重視するとの調査結果があります。ボランティアやサークルといった日々の活動や、学習に対する問題意識などをFacebookを通じてチェックし、優れた学生を発見するために使われることもあるそうです。1回の試験だけで分かる成績評価に対して、こうした日々の活動や学習の結果を蓄積して一定期間積み重ねたものを「ポートフォリオ」と呼びます。そして、これを電子化した「デジタルポートフォリオ」が、大学や企業における能力評価の指標として活用され始めています。その動きを、教育部研究生1年の河合道雄さんがまとめました。

「専門職学習ネットワーク」~ネットでつながる教員たち

 米国では、教員が日々の実践について情報交換し、専門性の向上を図るためのネット上のコミュニティが多数構築されています。ソーシャルメディアなどを利用した「専門職のための学習ネットワーク」が、教員の情報交換やスキル向上に貢献しているのです。例えば「TEACHERS pay TEACHERS」というサイトは、教員が授業案を売買するマーケットプレースとして機能し、70万ドルを稼いだカリスマ教員がいるほど。日本でも、授業のレシピを提供する「EDUPEDIA」などの教育コミュニティが立ち上がっています。こうした教員向けの学習ネットワークについて、教育部研究生1年の高木夕貴さんが紹介しました。

「ソーシャルラーニング」~学習者と社会がつながる

 Facebookなどのソーシャルメディアの普及により、ネットを介して多くの人々がつながり、相互に学び合う「ソーシャルラーニング」という学習形態が生まれています。学校や企業といった組織の枠を超えて、自分とは異なる視点や知識を持つ世界中の人々と出会い、学び合える点がポイントです。東京大学が実施した「Soclaプロジェクト」では、高校生が大学生や社会人とつながり、進路やキャリアについて学びました。その実践例を中心に、ソーシャルラーニングのメリットや課題について、教育部研究生1年の下村太郎さんが考察しました。

「グローバルラーニング」~国境を越える家庭教師

 海外に住む家庭教師(チューター)が、学習を24時間サポートしてくれる――。インターネットによって、そんなサービスが実現可能になりました。日本人にとって特に有効なのは、英語の学習です。海外のネイティブスピーカーと、ネットを介して会話したり、文章を添削してもらったりすることで、生きた英語を学ぶことができます。教育部研究生1年の林壮一さんが、自身の海外留学経験などを基に、国境を越えた「グローバルラーニング」の利点を解説しました。

 電子書籍版『10年後の教室』は、日経BP社の電子書籍ストア「日経BPストア」で購入できます。対応機器はiPhone/iPadおよびAndroid搭載端末です。価格は500円。教育の未来に関心のある方に、読んでいただければと思います。