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 2013年7月2日、ダグラス・エンゲルバートが逝去した。(関連記事

 エンゲルバートは、パーソナルコンピュータで我々が日常的に使っている「マウスの生みの親」と言われる人物。まだコンピュータが大型メインフレームで、巨大で閉鎖的なボックスだった1960年代に、彼はスクリーンのあるパーソナルコンピュータをマウスでインタラクティブに操作する方法を発明したのだ。

1960年代に遠隔プレゼンテーションのデモ

 ユーチューブ(YouTube)ができる以前のこと、シリコンバレーでテクノロジー関係者の集まりに行くと、よくエンゲルバートのプレゼンテーション・ビデオが上映された。1968年に開かれたある会議でエンゲルバートが行ったプレゼンテーションの記録で、遠隔地にいるエンゲルバートが、ネットワークでつながったコンピュータのスクリーンをマウスで操作し、買い物リストを作ったりするというものだ。

 当時のメインフレームコンピュータは、パンチカードで入力し、処理するまでにかなりの時間がかかる代物だった。そういう時代に、リアルタイムでコンピュータとやりとりができるうえ、スクリーンに必要なデータが映し出されることや、マウス操作によってコンピュータに指令を出せることに、そこにいた人々はかなり驚いたようだ。

 我々がマウスに親しむようになるのは、1980年代の半ば以降、アップルにライセンス供与されたマウスの技術が広く使われるようになってからだ。小型化したコンピュータやスクリーン上での自在な操作、遠隔地からの共同作業といったことは、最近になって実現された。1960年代にこんなことをすべて想像していたというのだから、エンゲルバートの先見の明はすごい。