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 この夏に広島県呉市の山中で起きた集団リンチ殺人事件では、少年少女らが「LINE」で頻繁に連絡を取っていたことが大きく報道された。一方、8月1日には、厚生労働省の補助金を受けた研究班が、インターネットへの依存が強いとみられる中高生は全国で約51万8000人に上るというショッキングな推計を発表した。それに呼応するように、LINE上でのいじめ、仲間はずれ、LINE依存などの問題を、マスコミ各社が取り上げている。

LINEとはどんなアプリか

 ご存じの通り、LINEはスマートフォンを中心に広がった無料通話・コミュニケーションアプリだ。ユーザー数は世界で既に2億人を超えているという。LINEをインストールした端末同士なら、インターネットを介して無料で通話やチャット(LINEでは「トーク」と呼ぶ)が行える。LINE関連のツールやゲームも多数提供されており、ほかのユーザーと連携してゲームを進めていくものもある。

筆者がLINEをインストールしたときにまず仰天したのは、アドレス帳に登録してある人の中で、既にLINEを利用している人宛てに、筆者がLINEを始めたことが勝手に通知されたことだ。さらに、小学6年生の息子にLINEゲームを遊ばせていたら、やはり全員に、一緒にゲームを進める誘いのトークが自動送信されたこともあった。

 簡単にインストールや操作ができるLINEだが、個人情報を守るには、自分で設定を変更しなければならないことを後で知った。時既に遅し、である。

中高生にLINE問題続出

 9月3日に発表された総務省の調査では、高校1年生のスマートフォン所有率が84%と、前年の59%を大幅に上回った。筆者が知る範囲では、連絡ツールとしてのLINEは必須に近い。LINEの「グループ」という機能を使っている中学生や、LINEゲームで遊ぶ小学生も少なくないようだ。

 中学生では、スマートフォンを持っていないと仲間に入れないとして、保護者に機種変更や新規購入を頼むことが多いという。結果として、中学生のスマートフォン所有率が急増しており、これが小学生にも波及するのは時間の問題だろう。

 LINEトークでは、メッセージを相手が読むと「既読」と表示される。緊急の用件を送信したときなどに、相手が読んだことを確認できて便利だ。しかし、子供たちの間では、返事を出さなければならないというプレッシャーになる。「読んだのに返事を返さない」とトラブルになることが多いからである。

 深刻なのは“LINE外し”と呼ばれる行為。LINEではグループを作成して連絡を取り合うことができるが、特定の1人だけをグループに登録しなかったり、いきなり登録を外してその子の悪口をトークし合ったりするいじめが起きている。LINEが使えない子は仲間に入れてもらえない実態もある。

 そのほか、LINEのIDを掲示板などに公開して援助交際を求めたり、美人局を行ったりと、事件や犯罪が起きていることも深刻な問題だ。

知識と心を育てること

 このような実態をLINE側も深刻に受け止めていて、携帯電話事業者と協力して、18歳未満のID検索ができないようにするなどの対応を始めている。だが、それでも親名義の登録ではすり抜けてしまう。LINEを使ったトラブルが社会問題になっている以上、LINE側はもっと積極的な対応を考えるべきだろう。LINEを便利に使っているユーザーがほとんどだと思うが、このままでは本当に悪者になってしまう。LINEの改良とともに、LINEを教材とした情報モラル指導のパッケージを開発して提供するのはどうだろうか。

 さて、もしLINEがなかったらいじめやトラブルは起きないのかというと、もちろんそんなことはない。ツールが代わっても同じような問題は必ず起きる。一番大切なのは、友達や自分を大切にする心である。これは学校の学級経営や道徳、心の教育などを通じて長期的に積み重ねていく必要がある。家庭でも保護者の力で指導することは十分に可能だ。保護者会などで実態を知らせて協力を求めることから始めたい。