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 設定が過去になっていたり古かったりする映画やドラマなどを観ると、見慣れないものが映っていることもあります。オードリー・ヘップバーンが主演した1954年公開の「麗しのサブリナ」(Sabrina)という映画には、自動車電話が出てきます。無線を使い移動可能な電話は米国で1946年に米国で世界最初に開始されました。この映画に出てくるのは、恐らく、それなのだと思われます。電波が届く市内などの一定範囲内でのみ利用可能なもので、簡単にいうと、移動側は単なる無線機で、これを1つの基地局で受信し、電話回線に接続してました。

 1946年といえば戦後間もないころ。米国でも「金持ち」(映画の主人公サブリナは、金持ちに雇われた運転手の娘という設定)に限られていたのでしょうが、すでに60年以上前に、無線技術を使うことで外出先で移動しながら電話することができたのです。

 今でさえ、さまざまな「無線」技術があり、「ひも付き」でないデバイスが増えてきました。無線化することで、利便性が向上するのです。モバイルデバイス、最後の無線化領域は「充電」です。高速な通信が可能になった現在、大きなデータの転送でもUSBケーブルを接続する必要もありません。しかし、充電だけは充電ケーブルを接続する必要がありました。

 数年以上前から、米国では「置くだけ」充電の機器を見かけるようになりました。ただし、機器側が対応していないので、専用カバーやアダプターを付けるものでした。カバーと一体になっているので、付け外しの面倒はないものの、今のようにさまざまなカバーが流通しているのに黒の少し太めのカバーというのはあまりかっこよくありません。また、iPhoneなどメジャーな機器はカバー方式で対応しているものの、そうでない機器はUSB端子にアダプターを付ける必要があり、手間は有線と同じ。メリットがありませんでした。

 そこに登場したのがQi(チー)と呼ばれる共通規格です。一定の規格を定めることで、機器メーカーは自社製品だけを対応させればよく、オプションとして充電台などを扱う必要がありません。当初は、バラバラだった充電器や電源端子の統一といった意味合いがありましたが、USB充電が普及した現在、この点では、あまりメリットがありません。これら「ワイヤレス充電」に関しては、かなり前(2010年)に1回、本連載で扱ったことがあります(関連記事:ワイヤレス充電の時代は来る?)。

 なお、このような充電方式を「無接点」充電といいます。金属同士を接触させて電流を流すのではないという意味ですが、電源関係の場合には、「無接点」ということが普通のようです。本質的には、線の有無ではなくて、導体の接触で電力を伝えるかどうかということになるからです。電源ケーブルを接続しないという意味の「無線」(Wireless)は、いわゆる電波(Radio Wave)と勘違いされやすいということもあるでしょう。電波を使うのに「無線」カードとは言わずに「非接触」カードというのと同じです。

 NTTドコモは、2011年に最初の無接点充電対応の携帯電話(シャープのSH-13C)を発売し、以後もラインアップを充実させてきています。しかし、あまり注目されていないようだし、中には否定的な意見を持つ人もあるようです。ですが、この無接点充電は、理論的に理解するものではなくて、感覚的に体で理解するものなのです。一度使ってみれば、適当に台の上に置けば充電されるという「手軽さ」を実感できるのですが、使わない限り、この「手軽さ」を体感することはできないのです。悪阻悪、いくら説明しても、説明を聞いて使ってみようとは思わないのではないかと思います。なぜなら、説明して理解できる「便利」な機器ではなく、体験して納得する「手軽」な機器だからなのです。これは、いわゆる「ダマされたと思って使ってみる製品」といえます。