2013年9月10日発売の雑誌「WIRED」No.9の特集は『OPEN GOVERNMENT ひらかれた政府 デジタル時代の「ガヴァメント」』だった。
このテーマは、日本のIT業界ではだんだんと鬼門という感じになってきているし、国民も電子政府とか、電子自治体とか言われると、使えない、役に立たない公共事業の代名詞のような印象を持つようになっている。そんな国で、いくらオシャレな雑誌WIREDとはいえ、売れるのかなあ、編集長は思い切ったなあ、なんて老婆心ながら心配してしまった。
この特集号が売れたのかどうかは知らないけれど、この特集はWIREDらしいアイデアとイノベーションに満ちた内容で、オープンガバメントの本質をとらえて秀逸である。
そこでは、NPOが行政にITエンジニアを送り込む「Code for America」(図1)、ソビエト連邦崩壊で取り残された小国エストニアが取り組む「e-Estonia」(図2)、財政が破たんし自治体崩壊に直面するデトロイト市(図3)の3つの事例を示しつつ、その何が秀逸かというと、オープンガバメントというムーブメントが、市民が支えざるを得ない社会の到来を背景としていることを鋭く突いているからである※1、※2、※3。