先だって、アマゾン(Amazon.com)のCEOであるジェフ・ベゾスが、老舗新聞社のワシントン・ポストを買収することが話題を呼んだ(ITproの関連記事)。今度はオークション・サイト大手イーベイ(eBay)の創設者であるピエール・オミディアーが、調査報道を中心とした一般向けメディアを作るのだという。
オミディアーは、イーベイの創設後しばらくして経営の第一線から身を引き、フィランソロピスト(慈善活動家)として活動してきた。その活動を見ると彼のメディアへの関心がうかがえる。単にコンテンツがいっぱいあるという意味のメディアではなくて、もっと社会に対する使命感を持ったようなメディアが念頭にあるようだ。彼の言葉を借りると、「調査報道と政府責任に関する報道」である。
2億5000万ドルを投資
オミディアーの資産は85億ドルと推定される。その中から、この新しいメディアのために2億5000万ドルを投入する計画という。紙メディアではなくオンラインメディアを想定しており、すでに何人かのジャーナリストとも話をしているようだ。
2億5000万ドルというのは、くしくもベゾスがワシントン・ポスト買収に費やした金額と同じだ。実は、ワシントン・ポストはベゾスだけではなくオミディアーにも買収話を持ちかけていたという。それについて検討するうちに、取材対象に関してとことん専門知識と熱意を持つようなジャーナリストたちを中心に据え、そこからメディアを構築した方がいいと思ったという。それが、既存の新聞社を買収する代わりに、新しいメディアを自分でゼロから作った方がいいと決心した理由だ。