米シリコンバレーには、「インキュベーター(起業を支援する事業者)」や「アクセラレーター(事業拡大加速を支援する事業者)」が多い。最近増えてきたのはハードウエア関連のスタートアップベンチャー企業のためのアクセラレーターだ。
ハードウエアへの関心の高まりは、「メーカームーブメント」を見ても明らかだろう。もの作りが好きな人々が自宅のガレージの中で新しい何かを生み出すという「ガレージ文化」はシリコンバレーというより、米国における発明の歴史そのものだ。それがインターネット普及の大波で、近年は少々見えにくくなっていた。
デジタル技術がもの作り促進
ところが、物理的なかたちをとったもの作りに取り組む人々が再び注目を集めている。以前と異なるのは、メーカーたちがインターネットで仲間を作れるようになったので、もう「ひとりぽっち」ではなくなったこと。そしてデジタルテクノロジーのおかげで、高度な機能を盛り込んだものを以前より作りやすくなったことである。
シリコンバレーの新しいもの作り文化から生まれた製品といえば、AI(人工知能)を盛り込んだサーモスタットの「ネスト」がある。最近、煙探知機も発売した同社は、アップルの出身者によって作られた会社。アップルの製品自体も、メーカーたちに「美しく使い勝手がいい、高機能なもの」を作ることが可能であることを示したと言える。
メーカーたちのためにいろいろな道具をそろえて提供するテックショップのような場所も増えたし、デジタル部品も安くなった。必要な部品は3Dプリンターで“印刷”して作ってしまうことも可能だ。当座の資金が欲しければ、クラウドファンディングのWebサイトでアピールすればよい。