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 アマゾン(Amazon.com)が、ニューヨークとロサンゼルスで日曜日の配送を開始するそうだ。日本のような便利な場所に住んでいると理解できないだろうが、米国での荷物の配送は実に前時代的である。オンラインで商品を注文すると、配送予定のところにはたいていこう書かれている。「営業日5~7日以内に発送」。

 営業日(ビジネスデー)というのは、月曜日から金曜日までのこと。そして発送というのは文字通り「荷物を発送する」ということで、荷物の到着日ではない。つまり、今週の月曜日にオンラインで注文しても、発送されるのは早くて来週月曜日、ヘタをすると来週の水曜日になってしまうということだ。

 そして、そこから到着までいったい何日かかるのかが、これまたよく分からない。ショップによって発送手段が異なるからだ。普通郵便なのか、配送サービス会社のUSPSの宅配便なのか、それともフェデックスの格安サービスである「フェデックス・グラウンド」なのか。明記されていれば大ざっぱに日数を予想できるが、正確なところは不明。日本のように、翌日や翌々日に荷物を受け取りたいということになれば、何十ドルもの特別料金を払わなければならないのが通常だ。

宅配物流の進歩が止まった米国

 米国ではネットショップが高度に発達し、その使い勝手も日々進歩している。だが、いざ実世界での配送という段階になると一気に時代がさかのぼる。デジタル時代はどこへやら、といった具合の鈍さだ。ネットショップのおかげで、車を出して、こまごまとした買い物に出かけなくて済むようになったのはうれしい。だが、この最後の配送の部分だけは旧来のスピードのままなのだ。国土が広大という事情はあるものの、サービス精神の欠如がなせる技でもある。

 それでも、一部の優れたショップは“予想外の速さ”で配送してくれる。大手デパートやメジャーなブランド、人気のネットショップで買い物した商品は、日本のような翌日は無理でも、かなり確実に営業日3~5日以内に到着する。そして、こうした優れたショップの代表格がアマゾンだ。