中高年世代が快適に使えるスマートフォンを紹介する、この連載コラム。久しぶりとなりましたが、「これはなかなか良いのでは!?」と思える端末に出会えましたので、紹介したいと思います。KDDI(au)が11月23日に発売する「isai LGL22」です。
LGとKDDIが対等な関係で共同開発
isaiは、韓国LGエレクトロニクスとauが共同開発したモデルです。auは、これまでにも「INFOBAR」などのオリジナルブランドのデザイン端末をリリースし、台湾HTCと共同開発した「HTC J」をヒットさせるなど、メーカーとのコラボレーションには実績のあるキャリアです。今回のisaiも、その流れで生まれた製品と捉えて差し支えないでしょう。
ちなみにisaiの語源は「異才」。他のスマートフォンとは異なる体験ができることをセールスポイントにしています。とはいえ、デザインが奇抜なわけではなく、取り立てて珍しい機能が搭載されているわけでもありません。すでにスマートフォンを使っている人には「どこが異才なの?」と感じられるかもしれません。使い心地としては、むしろベーシックな印象を受けます。しかし、デザインや操作性の細かい部分に目を向けると、「なるほどなぁ~」と思える、さまざまなこだわりが感じられる端末です。それもそのはずで、このisaiは、一部のユーザー層に訴求するモデルとして開発したのではなく、年齢や性別を問わず、幅広いユーザー層に向けて開発されたモデルとのことです。
isaiの開発経緯や製品特徴などを紹介する「isaiプレスカンファレンス」というイベントが11月5日に韓国ソウルで開催され、筆者も取材してきました。その際に聞いた話では、「isai」というブランド名は開発の最終段階で決まったとのこと。まずは、誰もが必要とする普遍的な「水」というコンセプトで開発が始まったそうです。水色や青を含むカラーバリエーションが採用され、ロック画面に水面のような背景が表示されるのは、そのコンセプトによるものです。「isai」という新しいブランドの第1弾として、普遍的な価値を持つスマートフォン「LGL22」が開発された、と捉えるのが正解です。
LGは、海外メーカーながら日本市場のニーズに合わせた防水対応モデルを作るなど、従来から日本向けのカスタマイズに力を入れてきたメーカーです。今回は、そこから一歩進んで、KDDIとの共同開発により、より細かいニーズに対応させることを目指したようです。きょう体のデザインだけでも、8カ月にもわたり、両社がやり取りを繰り返し、考え方の違いから時には衝突しつつも、両社が納得できる形にたどりついたとのこと。INFOBARはどちらかといえばキャリア主導で、HTC Jはどちらかといえばメーカー主導で開発された端末と言えるでしょう。一方でisaiはLGとauが対等な関係でコラボレートしたことが特徴と言えます。筆者の個人的な感想としては、そのコラボレーションは成功したように思います。世界シェア第3位のLGが持つ技術を生かしつつ、日本のユーザーに適した機能や操作性を違和感なく融合した、という印象を受けます。