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 2013年のレギュラーシーズン、パシフィックリーグで最多勝を挙げた東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手が奪った三振は183個だった。スリーストライク目の投球のうち、78球(42%)はフォークボール(スプリット)で、78球中の68球(87%)はボールゾーンの球だった――。

写真1●ベースボールアナライザーの分析結果。東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手が三振を奪った183球の全コースと球種ごとのコースを表示している
写真1●ベースボールアナライザーの分析結果。東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手が三振を奪った183球の全コースと球種ごとのコースを表示している
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 プロ野球やサッカーJリーグの試合で発生した様々なデータを収集・蓄積して、多様な分析結果を提供するデータスタジアムという企業がある。プロ野球に関しては、ペナントレース中に、ポータルサイトでは定番となった1球ごとの速報データを配信しているほか、全12球団のうち11球団に分析システム「ベースボールアナライザー」を提供する。一般向けの情報だけでなく、プロユースのサービスも提供し、各球団の戦略策定や選手の評価を手助けしている。

 冒頭の事例も、ベースボールアナライザーの分析結果だ。当たり前のことだが、ここで表示された奪三振数は、日本野球機構が公開している田中投手の奪三振数とぴたり一致する。写真1に引用したのは、全183球のコースと球種を表示する画面だ。左端が一覧表示で、右側は球種ごとに分けた表示となっている。

 基になるデータは、同社が抱えるプロ野球とサッカーを合わせて140~150人いる入力担当者(同社は「エキスパート」と呼んでいる)が、中継を見ながら1プレイごとに入力している。ここで、専門的な視点から詳細なデータを入力しているからこそ、後から多様な視点で分析が可能になる。

 183球を1画面にプロットした画面を見ると分かるように、三振を取った球で、コースや球種がぴたりと一致するもののはほとんどない。そして田中投手がフォークボールで奪った三振78球のうち、見逃し(画面内の緑色の四角形)と「逆玉」(画面内ピンクの枠がついた紺色の四角形)があったことも見て取れる。逆玉とは、キャッチャーが構えた場所とは逆のコース(内角に構えたのに外角に来た、あるいはその逆)に来たボール。捕手の構えと球筋を見比べてデータ化しているから、後で「この投手は三振を取るカウントで逆球の数が多い」といった分析ができるようになる。

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