レーザー距離計とは、レーザー光線を使って、距離を測定する機器のことです。簡単に言うと「巻き尺」の代わりに使うものです。かつては、超音波を使う距離計があったのですが、障害物があると測定できないなどで、最近ではほとんどレーザー方式になったみたいです。
レーザーを使った距離計は、工場のラインなどでの位置決めなどに使われていましたが、低消費電力化とともに工事現場などで、建築物の完成状態を調べるための測定器として使われ始めました。低価格化してきたために、最近では、安いものでは1万円以下のものもあり、個人でも「巻き尺」代わりに購入する人が増えています。また、望遠鏡と組み合わせてゴルフでピンまでの距離を測定する機器などにも組み込まれています。
いわゆる「日曜大工」的なことが好きな人なら、もう持っているかもしれません。アマゾンやヨドバシあたりでも取り扱いがあり、比較的ポピュラーな機器になってきました。
レーザー距離計は、変調したレーザー光線の位相(2つの波のズレ)を測定することで距離を測る機器です。原理としては山彦で距離を測るのと同じで、出した光が戻ってくるまでの時間を計ればいいのですが、光は1秒間に約30万キロ(地球を7周半)も進んでしまうために、1メートルを進むのに約3ナノ秒(ナノ秒は10の-9乗秒)しかかかりません。さらに、その時間を1センチの誤差で測定するには、1センチを進む時間である0.03ナノ秒(1メートルを進む時間の1/100)以下の精度で時間を測定しなければなりません。0.03ナノ秒は、約30GHzになります。
パソコンやスマートフォンのクロック周波数の10倍ぐらい速く動くデバイスが必要なのですが、回路としてはCPUに比べると簡単なのと、回路上の工夫などで0.03ナノ秒を測定するのは、現在ではそれほど難しい技術ではなくなったようです。カタログを見るとプロ向けの機器では、誤差は1ミリ以下なので、もっと高速なデバイスが使われていると思われます。
ただ、光なので、実際の測定は、対象までを往復したレーザー光線と元のレーザー光線の波のズレ(位相)を測定します。レーザー光線をスプリッタ(ハーフミラーのようなもの)で2つに分けて、片方を対象に当てて、戻ってきた光と分離したもう1つの位相を比べます。簡単に言うと、光のパルスとパルスの間の時間を計れば、それがレーザー光線が往復に要した時間で、その差から距離を測定します。
筆者も前から興味があったのですが、ここ数年、日曜大工的なことはしておらず、剥がれた壁紙を接着したり、壁にフックを付けたりする程度。これではレーザー距離計を買っても純粋なオモチャにしかならないかなぁ、と考えていました。
しかし、米国アマゾンで、スマートフォンに接続するレーザー距離計が50ドルと、安売りしていたので、思わず買ってしまいました。