さて、テレビCMにつられて買ってみた「Kindle Paperwhite」(以下、Kindleとする)ですが、今のところ少しもてあまし気味です。1つには、以前、この連載で書いたように持ち歩く機器としての存在場所がないことでしょう。筆者は、外出するときには、タブレットを持っていくことが多いため、Kindleとは役割が重複してしまうのです。AndroidにはKindleアプリがあるため、わざわざKindleを出すこともなく本が読めてしまいます。
Kindle購入時のキャンペーンで、書籍で使えるポイントをもらったので、本を何冊か買ってみました。もともと、Kindleは、米国Amazon.comのアカウントで使っていて、仕事で使う本のうちWindows Internals(Windowsの内部などについて書かれた書籍)などの分厚くて取り扱いが不便なものを買い、手軽に参照するという使い方が多かったのですが、今回は、いわゆる小説などを買ってみました。
ストアとしては、よくできているのだと思いますが、コミックの原作などになっている作家だと、小説とコミックが混ざって表示されるのは、ちょっと困りました。よく見ればコミックと分かるのですが、同じページに表紙を並べられると、表紙のイメージだけで「これは読んでないなぁ」と買ってみたらコミックだったなんてこともありました。別にマンガはキライではないのですが、小説を読もうと思って開いたら違うっていうのは、ちょっとストレスを感じます。
Kindleで読む感覚は、文庫本のイメージにかなり近く、手軽な印象がある半面、ハードカバーの書籍や分厚い新書版(いわゆるノベルズ)に感じる、「重さ」や「重厚感」がなく、少し残念な感じがします。個人的には、こうした書籍のように1ページが上下2段になった「文字がぎっちり並んでいる」感じが出るといいんです。というのも筆者は、割と読むのが速く、フォントを最小にして行間を詰めて、余白を小さくしても、ページ送りが頻繁なので、なんたがバケツの水を小さなスプーンですくっている感じがします。
そういうわけで、Kindleをメインの読書端末にするのは諦めました。タブレットのKindleアプリにしても、文庫本的な読書の感覚はほとんど変わらないんですが、手元に10型のタブレットがあり、これを使って見ると1ページの文字量がぐんと増え、ページ送りの回数を減らすことはできました。10型のタブレットとしては、モトローラのXOOMと、「新しいiPad」こと第3世代のiPadがあるのですが、文字を最小サイズにしたときの表示品位はiPadの方が格段にいいようです。ただ、どちらも、手に持って本を読むのには重く、机に向かって座り、スタンドにタブレットを立て掛けて読んでおり、なんだか時代劇で侍が本を読んでいるような感じです。さらにいえば、日本でも、Windows用のデスクトップ版やストアアプリ版をぜひ出していただきたいところです。AndoridやiOS向けのアプリがあるのにWindows版アプリを日本向けに出さないのには、何か深い理由があるのでしょうか?
とりあえず、利用方法として、タブレットを使っているときの文書参照を考えてみました。タブレットでは、複数のアプリを切り替えて利用するのが面倒です。コピー・アンド・ペーストもパソコンのように手軽デハないし、そもそもコピーできたとしても、貼り付けで正しくデータ形式を把握できるアプリも少ないため、文書はKindleで見るだけでも、アプリを切り替えて使うよりかなり作業効率が違います。
PDFビューアーとしては「いまいち」という評価を下しまししたが、Kindle用の形式に変換すると、かなり大きな文書も表示できるようになるようです。ただ、この変換が、一筋縄ではいかないのです。