PR

 新年、明けましておめでとうございます。本年もごひいきのほど、なにとぞよろしくお願いいたします。

 クリスマスや暮れのバタバタの時に、こりゃひょっとしたら年は明けないのでは……と思ったほどでしたが、正月はやってくるのですねぇ。いつも通り大晦日もやってきて、例年通り我々噺家は、元旦の朝早くから一門で集まって、お餅を食べて、仕事始めで「初席」の浅草での高座を務めました。着物姿で楽屋に入れ替わりやってくる寄席芸人さんたちが、ちらほら赤ら顔なのも正月です。今年の正月は寄席の合間に鹿児島で独演会もやったりと、怒涛の5日間が過ぎ、ほっとしているところでございます。

 そんな正月風景を横目に、今回は、去年の暮れに、とあるモノに出会ってしまってインドアにアウトドアにすっかり虜になっているモバイルグッズ紹介しちゃいます。

 そんなわけで新春ガジェット噺始まり始まり~。

 暮れのある日、友人Tさんと食事に行き、そのままTさんが録画している格闘技を観戦しに、Tさんのお宅に行ったときの話。

「コレ見つけたときさぁ~、もぉ彦いっちゃんの顔が浮かんだんだよ」
「なんすかコレ? 寺田さん!」

 そう、Tさんとは、いつも魅力的なガジェットを薦めてくれる絵師の寺田克也さんである。

「まぁ見てなって」

小型の筒状の、まるで自転車に装着できる小型空気入れのようなえたいの知れないモノをシュポシュポやって、脇に付いている小さなお椀状のところにお湯を注ぎ、蓋をして、裏返して、ボタンを押すと、ぬぁんと!! コーヒーがぁ!! チョロチョロ~シュワ~ワァ。

 そう、超小型エスプレッソマシン「ハンドプレッソ」だったのだ。ぎゃ~!

 普段、僕は、円錐型ペーパードリップでせっせとコーヒーをいれて飲んでいる。朝4~5杯分作ってポットに入れ、適当に飲んで無くなったら、その日のコーヒーはおしまい、ということにしている。

 エスプレッソも嫌いじゃないが、飲み方がよく分からない上に、量がなにせ少ないし、ちょっと敬遠していたものだ。以前、イタリア料理屋さんの厨房に入れていただいたことがあった。その際、シェフにお願いをしてエスプレッソの作りを教えてもらったことがあった。マシンだから誰がやっても一緒だろう、と思っていたが、なかなかどうして難しく深いものだった。やってみたいなぁ、欲しいなぁと思ったが、器具の手入れも大変そうだし、なにしろマシンの値段の高さたるや、いやはやである。

 正絹の着物を作らずにエスプレッソマシンを買ってしまう噺家はある意味スバラシイのだが……そこまで気持ちもお金も膨らまなかった。なによりエスプレッソという飲み物が、電気、ガス? で圧をかけ抽出するというスタイル。僕の好きな旅先、キャンプなどではまず作るのが不可能なので、旅のお供にはなりえないので諦めており、旅のお供のコーヒーはやはりペーパードリップかパーコレーターだなと思っていた。

 もっともパーコレーターは雰囲気があるのだが、熱湯の行ったり来たりの構造なので、妙な苦味が出てしまうことも多く、最近は出番がない状態だ。そんなときにに現れたこの「ハンドプレッソ」。コーヒーが好きなことに加え、どんな旅にも持っていけるし、持って行きたくなるフォルムにすっかりやられてしまった。

 旅先での宿で朝、部屋で飲むのもよし、キャンプで水辺や山を眺めながらほっと一息するのもよし、長距離ドライブの気分転換に車の中ですするのもよし。僕などは、楽屋で飲んだっていい。ふふふ……。

 この日の寺田さん宅での目的であった、格闘技UFCの試合観戦「マークハントvs.アントニオ・シウバ」は壮絶で素晴らしく、格闘技脳みそデータブックに刻まれたが、同時に脳の違うフォルダーにはこの「ハンドプレッソ」が鎮座していた。

 家に戻って早速ネットで注文。