ドコモサイトとの連携が足りない
「ウォークスキャン」を使うには、事前にサービスサイト「ウェルネスリンク」の会員にならなければならないが、これもIT機器に慣れていないユーザーには障壁になりそうだ。実はこの「ウェルネスリンク」を運営しているのはオムロンではなく「ドコモ・ヘルスケア株式会社」で、オムロンの製品パッケージにはこの両者の関係について特段の説明がない。
「美姿勢ウォーキング」アプリ内で最初にすることは「ウェルネスリンク」への登録作業だが、ここでオムロンのサイトではなくドコモのサイトに飛んでいくことを知らないユーザーは不審がるはずだ。こういった基本的な情報は移動前にきちんと説明するか、これこそマニュアルに断り書きを入れておくべきだ。オムロンの製品を購入したのにドコモに個人情報を預ける理由は明確に説明する必要があるだろう。
そういうわけで、「美姿勢ウォーキング」アプリを使い始めたあと、デバイスの利用法を知りたくなったような場合には、このアプリを離れてオムロンサイトに行かなければならないのが不便だ。ヘルプを出したら何とかなるだろうと思っても、この中には情報は用意されておらず、オムロンサイト内にある「omron式美人」サイトに飛ばされるのみなのだ。ここはオムロンが企画しているヘルスケア情報を発信するサイトで、デバイスに関する情報はきわめて入手しづらい。しかも、見せ方がひどい。PCサイトをそのまま呼び出しているだけなのだ。こちらの制作責任はオムロンが持っているはず。iPhoneからのアクセスに決まっているのだから、もう少し工夫があってもいいのではないだろうか?(図5)
さらに、iPhoneでもマニュアルが読めるようになってはいるのだが、小さなパッケージに収めるための特殊な形状の紙面をそのままPDFにしたものが放り込まれているだけだ。これじゃ読みにくい、というか、必要な情報にたどり着くのは大変でしょ。やはり、iPhone向けに、読みやすくレイアウトし直して、1ページずつ読み進められるようにしなければ……(図6)。
この製品をマーケティング、販売の担当者たちは本当に自分で使ってみたのだろうか? 社長は自分で使ってみて、ユーザーが満足できる製品になっているかどうか体感試験してみたのだろうか。私が使ってみた感じでは、全く使ってみてはいないと思える。サイト構築、コンテンツ作りには大金がかかっているように見える。こんなすごい仕組みを作っていながら、ユーザーが使えないものにしかなっていないのは本当に惜しい。当初の販売目標はちゃんと達成されるのだろうか?