最近のモバイルパソコンは、小型軽量のものが多くて、そのしわ寄せがUSB端子やその他の端子類に来ています。例えば、イーサーネットで使っている端子は、いまや大きすぎて、薄型のノートパソコンやタブレットには内蔵できなくなるところまで来てしまいました。IEEE 802.11nなどの高速な無線LANがあるので、ネットワーク接続ができないということはないのですが、利用する場所によっては有線のイーサーネットを利用しなければならない場面もあります。
こうした状況に対して、以前、この連載で「ギガビットイーサーネット付きUSB 3.0対応ハブ」を紹介しました。しかし、これは最近普及しつつある8型クラスのタブレットには向いていません。また、ホテルなどで有線のネットワークがサポートされているような場合、それはギガビットイーサーネットではなく、100MbpsのFast Ethernetであることがほとんどです。そういうわけで、今回は、こうしたモバイルでのUSBハブや有線接続について、再び考えて見ることにしました。
8型タブレットのUSB端子
8型クラスのWindows 8.1タブレットは、かつてのネットブック的な価格帯で、軽くて持ち運びに便利です。しかし、このタイプのマシンでは、搭載しているUSB端子はMicro-USBで、充電に利用するため、接続するケーブルでホストとクライアントを切り替えることができる「USB On-The-Go(OTG)」タイプになっています。このため、USB端子に機器を接続する場合には、俗に「ホストケーブル」と呼ばれる特殊な変換ケーブルを使う必要があります。これを使わずに普通のMicro-USBケーブルを使うと、USBインターフェースは、クライアントとして動作します。充電兼用端子の場合には、通常のMicro-USBケーブルを使って充電が行われます。本体側には、「マイクロAB」(断面が長方形)と「マイクロB」(断面が台形)の2種類のUSB端子が使われています。USB OTGの規格では、ホストになる機器はマイクロABを使うことになっているのですが、最近では、マイクロBレセプタクルでもホストケーブルを接続することでホストになることができる機器が増えつつあります。
こうしたタブレットには、多くの場合、変換用の短いホストケーブルが付属しますが、片側は、フルサイズのUSB A端子(メス)になっていて、このままでは1つのデバイスしか接続できません。それに、最近では、Micro-USB端子(USB 2.0 マイクロB)が本体から直接出ているUSBハブも販売されています(こうした形状をキャプティブとかピッグテールといいます)。こうしたハブを使えばタブレットを直接接続できます。ただ、USB 3.0のMicro-USB端子は、USB 2.0のそれとは形状が違うため、1つのプラグでUSB 2.0と3.0のMicro-USB端子を兼用させることができません。こうしたことから、前述のWindows 8.1搭載タブレットの多くはUSB 2.0のMicro-USB端子を備えているため、これに直接接続できるピッグテールのUSBハブは、当然USB 2.0ということなります。
いまさらUSB 2.0ハブを買うなんてと思われるかもしれません。ですが、ホストケーブルを用意する必要がなく手軽です。価格的には1000円程度と、普通のUSB 2.0端子を備えたものとさほど変わりません。だいたい、本体にはホストケーブルは付属していたとしても1つ。これを外出時に忘れずに持ち出すというのは結構面倒です。国産のWindows 8.1タブレットの中には、ホストケーブルが付属していない製品さえあります。持ち出し忘れを防ぎたいなら、もう1つホストケーブルを入手しなければならず、そのときにはハブを接続することが多いのですから最初から一体型のものを買う方がいいかもしれません。なお、パソコン側の端子がマイクロBでもマイクロABレセプタクルでも、マイクロBプラグは必ず装着可能なので、ハブ側の端子形状を気にする必要はありません。注意するのは、ハブの中にはクライアント側もケーブルが出ている構造のものがあり、ここにマイクロB端子が付いているものもあることです。
別の方法としては、ホストケーブルや同等の変換アダプターをもう1つ用意して、USBハブに着けっぱなしにしてしまう方法もあります。安いものでは300円ぐらいで入手可能なのですが、どこでも売っているものではないので、オンラインショップを使うか、大きな店舗に行く必要があります。この方法だと手持ちのUSB 2.0ハブがそのまま利用できるので低コストになります。