このコラムでは久しぶりに、ある本の書評を書きたい。私が「こういう本が見たかった」と思う書籍が出版された。その名は『クール・ツールズ(Cool Tools)』(現時点では日本語訳は未発売)。大判のソフトカバーで、470ページにぎっしりと中味が詰まっている。

その中味は、雑多な製品や道具やノウハウ。小型暖炉やペンチもあれば、民族服や変わったスクーターもある。それはもう、世の中にはこんなに面白いモノがあるのかと、ページを繰っている間に何時間も過ぎてしまいそうなほどだ。
著者はテクノロジー分野の論客
この本を書いたのは、ケヴィン・ケリー(Kevin Kelly)である。ケリーは、著書『アウト・オブ・コントロール』でデジタル・テクノロジーによる新しい世界の在り方を早い時期に予測していた人物。それ以外にも、洞察の鋭い書籍やエッセイを多数書いている。米サンフランシスコ地域に在住する優れた論客で、人々の尊敬を集めている。
タイトルの『クール・ツールズ』は「イケてる道具」といった意味だ。本は種種雑多に見えるようで、実はいろいろな面からイケてる道具が厳選されている。
例えば、サバイバルのためのモノ、旅行に便利なモノ、ちょっとした工夫で使いやすく作られたモノ、これまでやっていた作業もこんな風にできるのだと教えてくれるモノ、こんなこともやればいいんだと気づかせてくれるモノなど。見ているだけでうれしく、元気になるようなモノばかりだ。