タブレットを使った通信教育サービスが、国内で続々と登場している。その先駆けとなったサービスの一つが、ジャストシステムの「スマイルゼミ」だ。2012年12月に小学生向けに開始し、2013年12月には中学生向けのサービスも始めた。
ソフトウエア開発会社である同社が通信教育サービスに取り組む理由は何か。タブレットを使うことで、どんな学習が可能になるのか。スマイルゼミの企画を担当する、スマイルゼミプロジェクトの寺尾房代マネージャと、開発を担当する大島教雄マネージャに聞いた。(記事構成は編集部)
山内:ジャストシステムさんといえば、一般には、ワープロソフトの「一太郎」や日本語入力ソフトの「ATOK」の会社というイメージが強いと思います。なぜそのジャストシステムが教育サービスに? と、疑問に感じる読者も多いでしょう。まず、教育サービスを始めた経緯から教えていただけますか。
寺尾:ご指摘の通り、元々、当社は一太郎から始まった会社です。ただ、15年ほど前、ちょうど「小学校にパソコン教室を作りましょう」という動きが盛り上がった頃から、小学校向けのソフトも出しています。最初は“一太郎の子供版”から始まったのですが、学校の先生のご要望を採り入れつつ成長し、今では「ジャストスマイル」という統合ソフトとして、全国の小学校の約8割に導入していただいています。
ワープロソフトに加え、子供向けのプレゼンソフトも用意しています。イメージとしては、大人が仕事に使うプレゼンテーションソフトに近いものですが、それを子供用に使いやすくしたものです。学習の中で写真を撮るという活動も増えているので、写真を加工できるソフトもあります。
このように、授業の中でICT(情報通信技術)を活用しやすくするソフトをまとめたものがジャストスマイルです。開発当初からこれまで、小学校の先生とお話をしながら、「今の学校ではこういう授業をしたい」とか「子供たちはこういう使い方をする」といったご意見を採り入れながら作り込んできました。
そういった中で、最近、先生方から、家庭学習の重要性を指摘する声が多く聞かれるようになりました。私たちはジャストスマイルの開発を通じて、子供たちに使いやすいものを作るというテーマをずっと追求してきたので、それを応用する形で、家庭学習用に使えるものが作れないか、という話になりました。そこから、スマイルゼミが生まれました。