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 今年も文化庁メディア芸術祭の受賞作品展に行ってきた。2014年は17回目で応募総数は4347作品。近年アート部門と海外からの応募が特に伸びているそうだ。

 受賞作品展は2月5日から16日まで、東京・六本木の国立新美術館で開催中である。主要な作品とIT技術に関係のある作品をピックアップして紹介しよう。

参考記事:何これ!が面白いアートたち(2013年の様子)

アート部門 大賞「crt mgn」Carsten NICOLAI(ドイツ)

 遠くから見ると天井から2本の振り子がブランコのように揺れているのが目に入る。展示室には壁で光るネオン管を映し出しているモニターが床に設置されている。その上を先端に強い磁石を付けた振り子が揺れているため、平行に並んだネオン管の画像が揺らぎ、電磁波の変動が音として聞こえるようになっている。

 一見してどんな意味があるのか理解できなかった。ガイドなどによると、普段感じ取ることができない電磁波を視覚と聴覚でとらえられるようにした作品だそうだ。動いていないネオン管をモニターに映しているのだから、ネオン管の画像は静止画のように変化しないはずである。しかし磁石を通過させることで動くはずのないモニターの画像が揺らぐ。これを見て、筆者には映像装置から普段イメージすることのないはかなさや、もろさが感じられて新鮮だった。

 なお強い磁石なので接近しすぎないように。またペースメーカーなどをお持ちの方はご注意を。

壁で発光しているネオン管をモニターに映し、磁石で映像をゆがませ、音を発生させる。
壁で発光しているネオン管をモニターに映し、磁石で映像をゆがませ、音を発生させる。
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