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 業績不振により提供していた電子書籍ビジネスから撤退する企業が、続々現れはじめた。ローソンは2月24日サービスを完全に終了したし、ソニーは北米での「Reader Store」を閉鎖する。ローソンは購入した書籍分のポイントを付与、ソニーはカナダのKoboに事業移管する。絶版などで、もう、街の書店でも買えなくなった書籍をせっかく電子版で手に入れたのに、端末も手に入らなくなる事態にまで至るともうどうしようもない。ユーザーとしても日頃から自衛策を講じておかなければならない。

電子書籍は読む権利を付与してくれるだけ

 せっかく購入した電子書籍が、提供企業の撤退で読めなくなってしまうことについては、ユーザー保護の観点から企業の取り組みが不十分なところが多いのはとても残念なことだ。

 ユーザーの手元で電子書籍が読めるのは、コンテンツを電子的に読めるようにする権利を提供しているからであって、「コンテンツを販売譲渡」しているのではない、というのが多くの電子書籍販売サイトのスタンスだ。したがって、営業停止してしまえば、当然閲読権も消滅し、読めなくなってしまう。こうなってしまうのは提供企業の販売ポリシーで仕方がない、と言ってしまえばそれまでだが、あまりにユーザーをバカにした話ではないか(図1)。

図1 去る2月24日、完全にサービスを終了したローソンの電子書籍サービス。あまりにそっけない終了宣言に開いた口がふさがらないユーザーも多いだろう。
図1 去る2月24日、完全にサービスを終了したローソンの電子書籍サービス。あまりにそっけない終了宣言に開いた口がふさがらないユーザーも多いだろう。
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 正常運用していれば、たとえば、閲読端末が故障したり、新機種に更新したとしても、購読権は存続しているために、再ダウンロード、再アクティベーションできるようになっているところが多い。

 以前は再ダウンロードできないサイト、ダウンロード期限を設けているサイトなども多かったが、そのような金権主義サイトは徐々に淘汰されてきた。今ではデバイスの入れ替えなどがあっても再ダウンロードできるようになっているところがほとんどだ。しかし、事業撤退でサイトが閉鎖される事態になれば話は別だ。ユーザーは販売会社の言う通りに購入価格分の返還ポイントを受け取って終わりにするしかない。

 しかし、購読権のみ提供していたと言われても書籍内容が気に入っていて、繰り返し読み直していたコンテンツならどうだろう。腹の虫が治まらないのが本音だろう。