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 先週は、MWC(Mobile World Congress)というイベントの取材でスペインのバルセロナへ行きました。ヨーロッパにいったついでに週末、オーストリアのウィーンへ寄ってきました。ウィーンは純粋に観光です。

 最初に訪れたのは、ウィーンの中央墓地(Zentralfriedfof)。ここには、著名な音楽家の墓などがあり、観光で訪れる人もいます。映画「第三の男」のラストシーンの並木道もこの墓地の中にあるそうです。ですが、筆者の目的は、ここにあるボルツマンの墓にお参りすることです。

ボルツマンって誰? すごく辛いカレーの店と関係あるの?といろいろと疑問はあるでしょうが、簡単にいうと、現在の物理学の基本となる考え方を提示した物理学者です。物理学を多少でも修めたら、ボルツマンには足を向けて寝られないほど大きな功績を残したことがわかるでしょう。

 熱力学とか量子力学、あるいはアインシュタインなどの著名な物理学者も結果的には、ボルツマンの功績の上にあるといっても過言ではありません。その功績をたたえて、ボルツマンの墓には、公式「S=k. log W」が刻まれています。この式は、可逆的な力学的運動の結果でも、非可逆な現象が起こることを説明したものです。

Ludwig Eduard Boltzmannのお墓。一番上に公式が書いてある。
Ludwig Eduard Boltzmannのお墓。一番上に公式が書いてある。
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 簡単にいうと、水の温度は、水の分子の運動が激しくなると高くなる「力学的」な現象なのに、コップに入れたお湯が冷えて水になることはあっても、何もしないで水がお湯になることがないことを説明したのがこの式なのです。

 ところが、中央墓地というのは、2.5キロ平方メートルという広大なもので、事前の情報なしに訪れても、目的の場所に行くことは簡単ではありません。最も、ベートーベンなどの音楽家は、特定の場所に集中して置かれているため、その場所を示す32Aブロックは、あちこちのガイドに書かれています。ボルツマンの功績が偉大でも、さすがに物理学者なので、知名度は、著名な音楽家ベートーベンやシューベルト「青き美しきドナウ」の作曲家シュトラウス(実は親子とも作曲家で両方の墓があります)ほどにはなりません。

墓地の全体図。中央の赤い逆三角のそばに14Cがある。ちなみに道路の反対側にある32Aには、ベートーベンやブラームス、シューベルトに加え、映画2001年宇宙の旅などで知られる「青き美しきドナウ」の作曲家ヨハン・シュトラウス2世(父のシュトラウス1世の墓もある)などのお墓がある。こっちもお参りしてきました。
墓地の全体図。中央の赤い逆三角のそばに14Cがある。ちなみに道路の反対側にある32Aには、ベートーベンやブラームス、シューベルトに加え、映画2001年宇宙の旅などで知られる「青き美しきドナウ」の作曲家ヨハン・シュトラウス2世(父のシュトラウス1世の墓もある)などのお墓がある。こっちもお参りしてきました。
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 しかし、さすがはインターネット、いまでは、検索すれば、訪問した人のブログなどから場所を探すことが簡単にできます。ボルツマンの墓の場所は14Cと呼ばれるブロックで、実は、音楽家の墓のある32Aの通りの反対側になる斜め前なのです。

ボルツマンのお墓のある14Cの地図。地図右下の角にあるのがボルツマンの墓。そばにある赤い丸は、この地図の看板のある位置。左側には、墓地全体での14Cの位置を示す丸がつけある。
ボルツマンのお墓のある14Cの地図。地図右下の角にあるのがボルツマンの墓。そばにある赤い丸は、この地図の看板のある位置。左側には、墓地全体での14Cの位置を示す丸がつけある。
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 ブロック番号が分かったからといっても、中央墓地へ行くのは簡単ではありません。まず、公共交通機関では、路面電車に乗らねばならないのです。路面電車は、ウィーンの中心部分となる「リングシュトラーセ」から出ているものの、実際には、地下鉄で途中までいって乗り換えるほうが時間がかかりません。筆者が自由に歩き回れるのはわずか1日。この間に中心部から少し離れたボルツマンの墓参りを済ませ、市内観光して、オペラ鑑賞というのが、1日の予定。