前回は電子書籍販売サイトが撤退してもコンテンツそのものは無くさないためにはどんな「電子書店」を選ぶべきか考えた。デジタル著作権保護機能(DRM)がかかっていても、ファイル自体はバックアップコピーが取れ、利用者の本人確認が取れれば再利用可能なサイトを選んでおこう、というところまで来た。さて、パソコンを新品に交換したような場合、旧パソコンからどう取り戻すか。今回はiBooksを例にその方法をご紹介しよう。
貴重なコンテンツはとにかくバックアップ
多くの電子書籍販売サイトでは、一度購入してダウンロードしたものは、機器を更新して保存媒体を含むハードウエアが一新されたとしても無料で再ダウンロードできる。アップルのサポートサイトではこのことを明示的に示している(iBooks および iBooks Store に関してよくお問い合わせいただくご質問 (FAQ))ので、この方針が変わらない限りこの件に関して心配することはない。一部のサイトはダウンロードできる制限を設けているところもあるので、十分に確認してから購入するべきだ(図1)。
アップルは当分つぶれそうにはないが、サービス自体の形式を変更してしまうこともありうる。かつてのMobileMeのようにサービス形態を変えてしまって、旧システムのコンテンツは無くなってしまうこともあるかも知れない。ただし、そういう場合、良心を持つ企業ならコンテンツの移行サービスを経た上で旧サービスは終了という道程をとるはずだ。なかには謝って終わりという企業があるのも確かで、実に嘆かわしい。
サービス形態が変更されたとしても、コンテンツのバックアップが安全に保管されていて、何らかの本人確認が機能するようになっていれば、使い続けることも可能だ。とにかく、貴重なコンテンツはバックアップする心構えが最も大切だ。
ただし、バックアップが取れる仕組みがあったとしても、それで完璧か、というとそうではないことは心しておかなければならない。アップルと言えども、今はiCloudサービスを順調に運営しているので当面は大丈夫だが、遠い将来、経済圏の変異でiCloudがサービス終了の時期を迎えることもありうる。そうなると、DRMがかかったコンテンツの場合、バックアップして大事に保存しておいたとしても権利認証されないため読めなくなることだって無いとは言えない。できるなら、貴重な文献が孫子の代まで確実に継承されるよう、もっとスマートなDRMが求められるところだ。