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 俺が新潟の田舎町に住んでいた子供の頃落語と言えば日本テレビの笑点だった。三波伸介さんが司会で小円遊師匠と歌丸師匠のやり取りが面白くて夢中で見ていた。

 でも自分も同じ商売になり、あの頃、落語だと思っていたのが実は大喜利と呼ばれる余興で落語じゃないと知った時はビックリした。今じゃ着物で座布団にちょこんと座って、扇子と手拭い使って左右キョロキョロして喋るのが落語だと知っている(大雑把な捉え方ですいません)。

 「おいおい、プロの落語家がそんな事で良いのか!生の芸に接して本物を知れ!」とお叱りのご隠居さんに言い訳させてよ。

 江戸前の古典落語なんて雪国の田舎じゃ聞けるわけも無く高校の学校寄席で1度だけ大きな文化会館の後ろから豆粒みたいなおじいさんの芸人さんをうたた寝しながら見ていた記憶しかないからね。生の芸なんて田舎じゃ見られません。

 と思っていたらある大物落語家さんから「白鳥の地元に毎年行って落語会やったな」なんて言われてビックリ!俺の故郷、新潟高田で落語会があったなんて知らなかったよ。そこで調査するとわかりました。その落語会は高田で一番の料亭で町の実力者やその関係者、粋な趣味人なんかが集まって江戸前の芸を聞くという会で粗暴な自転車屋の次男坊が気軽に入れる会じゃありませんでした。

でもこういう落語会というのは結構地方じゃあって「粋な古典芸能に親しむ俺達も江戸前」なんて思っているんだよね。そういう人達は「新作落語?くだらない、あんなの江戸前じゃないよ」って見向きもしない。あのね、古典落語であなた達田舎者が、どれほど酷い扱いを受けてるか知っているのかね?飯炊きの権助が皆さんの代表です。

 だから俺は地方の人達にも気軽に色々な落語を知ってもらいたいと思っていた。

 地方で落語に触れ合うには子供の頃の俺みたいにテレビで見るしかなく、ほんの一部の有名落語家しか知らない人が沢山いる。このコラムを読んでるあなたも落語家って日本に20人位しかいなくて保護しないと朱鷺のように絶滅するんじゃないかと思っているでしょう。それが実は東京だけで800人もいるんですよ。多すぎです。