iPhoneなど小さなモバイル端末で長々とした文字を打つのはなかなか大変だ。日本語の文章なら意味のある文字列なので、考えながら打ち込めば何とかなるが、以前このコラムで紹介したWebページクリップ用のJavaScriptなどはカンマ、コロン、カッコなどが複雑に入り組んでいて注意深く操作しても打ち間違いも起る。パソコンで調べた住所情報をiPhoneに送りたいこともある。そんなときに他のデバイスからワンタッチで情報を送りあうノウハウをマスターしておけば役に立つ。iOSには特別なアプリなどを用意しなくても、クラウド同期機能が備わっている。素のiOS機能をうまく使ってデバイスを連携させる方法を再確認しておこう。
同期のためのアプリはあまたあるが、素のiOSだけでできることが重要
企業によっては会社利用のiPhoneに追加アプリを勝手に入れさせないポリシーを通しているところもある。また、自分で用意したiPhoneやiPadであっても、事前に情報共有ソフトをインストールして設定してなかったという場合もあるだろう。新たに機種を追加した、というときも、最初の段階では設定のためにさまざまなIDやパスワードを入れなければならず、とても面倒だ。
そのような場合、自分専用に使える複数のiOSデバイス間で追加ソフト無しに情報交換ができれば仕事がはかどる。実は、iOSにはiCloudという各ユーザー専用のインターネットエリアが用意されていて、これを通じてデバイス間の同期や個人コンテンツの保存などができる仕組みが用意されている。5GBまでは無料で使えるので、これを積極的に利用しなければせっかくの素晴らしい仕組みがもったいない。
そんなこと先刻御存知、という読者の方も多いだろう。しかし、デジタルライフの指南役を務めていると、こんな基本的なことに気が付いておられない方も実に多いのに驚かされる。昔のモバイルデバイスには「ナンとかシンク」といったアプリが付属していたことがあるが、そうした明示的な独立した仕組みが用意されていないために知り得る機会がないのだろう。既にご存知だった方は、復習と思って読んでいただければと。
同期、あるいはデバイス同士で情報交換するためだけに着目すると、そのためにしつらえられた専用アプリを使うのが効率や手応えが確実に高い。たとえば、筆者が愛用しているアプリで言えば、クリップボードの内容を同期させる「CloudClip」(https://itunes.apple.com/jp/app/cloudclip/id563356503?mt=8)、アクセス中のWebページのURLや写真などのファイル類も相互に送りあえる「Pushbullet」(http://www.pushbullet.com)などだ。このあたりの話はいずれ機会を見て改めて紹介したい。しかし、これらのアプリを用意しなくても、かなりのことができるのを覚えておくと、いざというときにきっと役に立つ(図1)。