先週、このコラムではiTunes Matchを開始する際の魑魅魍魎をご紹介した。特に大量のオーディオファイルを登録している場合は準備に数日かかる覚悟が必要なのだが、そこをくぐり抜ければ、楽園が広がっている。万を超えるコレクションを最低限3Gの携帯電話網さえあればいつでもどこでも楽しめる解放感、自由度は本当に何者にも代えられない快感だ。しかも、本体ライブラリーの一部を何らかのトラブルで失ってしまってもiCloudからほとんどのファイルは取り戻せる。ただし、クリアすべき要注意事項がいくつかある。
iTunes Matchでできるようになった素敵なこと
iTunes Matchは簡単に要約すると手元のオーディオライブラリーをAppleが用意しているiCloudサーバーに置き、ネット経由で、鑑賞できるようにするサービスだ。置き方にはさまざまな形式があり、iTunesストアで販売している楽曲はその販売情報のみiCloudに置く。iTunes ストアにないオーディオライブラリーはデータそのものがiCloudにアップロードされる。対象となるのは通常の音楽ファイルだけではなく、音声メモなども含まれ、これまで録り貯めた会議録やインタビュー録音なども対象となる。
一旦、iCloudに上がったら、3GないしはLTEでつながったiPhoneやiPadの標準の「ミュージック」アプリで、あたかもローカルにファイルが存在するかのごとく再生できる。Wi-Fi接続できるならiPodなどでも同じ使い心地となる。この解放感はたまらない。これまで、さまざまな楽曲をライブラリーにため込んできた人にとっては、いつでも自分のライブラリーを再生できる解放感は何者にも代えられない快感を味わえる。
さらに一般のユーザーにとって嬉しいのは、一旦iCloudに上がったライブラリーは手元のiTunes ライブラリーから何らかの原因で無くなってしまってもストリーミングで問題なく再生できるし、必要とあらば手元のパソコン、モバイルデバイスにいつでもダウンロードすることができる。これまでは、パソコンのハード・ディスクが故障して交換したり、新しいパソコンを新調した場合にはiTunesライブラリーの移行は涙が出るほど面倒だったが、その心配がほとんど無くなってしまったのが、涙が出るほどうれしいことなのだ。