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 値段が高いから価値があるものは沢山あるが、値段が安くても、自分にとって使い勝手が良いから価値のあるものだってある。

 例えば落語家の作業服である着物もそうだ。真打ちになったら正絹の着物を着なきゃ格好悪い。昔は貧乏でも借金して正絹の着物を着ないと楽屋で笑われたそうだ。俺の師匠、新作落語の鬼才三遊亭円丈は初めて着物にワッペンを付けた男だが、その着物姿が全て正絹だったので「円丈は奇抜な事をするが筋は通っている」と仲間内からほめられた逸話を持つ。

 もちろん俺だって着ないが正絹の着物は1枚持っている。おいおい、たったの1枚かよ!とあきれたあなた。いくら高価な着物だって着なきゃゴミですよ。なぜ正絹の着物を着ないかと言うと「暑い」と「重い」、これが理由です。太っている俺は異常に汗をかく。受けて熱演しても、受けなくて焦っても滝のように流れるのだ。そんな俺が、風通しが悪く体にずっしり重い正絹を着たらサウナ状態でびっしょりです。もちろん着物も汗だらけ。でも正絹の着物は洗濯機でジャブジャブ洗えない。汗を落とすには洗い張りに出さなくちゃいけない。もちろんお金がかかりますよ。それなら洗えて手頃な着物買った方どれだけましか。だから100万円する正絹の着物と5万円の洗える着物どちらが欲しいかと言われれば速攻で洗える着物を選びます。あ、でも100万円の着物もらって質屋に流せば大もうけかな?なんて考えちゃダメですよ。

 実は最近しみじみとこの事を実感したのだ。

 今年の4月から東京新聞のテレビ欄にコラムを書く事になった。月1回で他の執筆者は笑点でお馴染みの林家たい平師匠や人気漫才師ナイツの塙君など、そうそうたるメンバーだ。それじゃなぜ俺に話が来たかと言うと、以前、東京新聞の「わが街わが友」というコラムを1週間書いたのだが評判が良く社内でも「こいつなかなかやるな」と思われ白羽の矢が白鳥に刺さりました。そりゃ俺はこのコラムを最初は3ヶ月と言われたのに2年以上やって鍛えられているからね。