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 ビデオ会議をこういう風に使うこともできるのかと、感心した。「オンデマンド通訳」である。

 それを知ったのは、2014年5月19日から米国で開催されている米シスコシステムズのイベント「Cisco Live 2014」だ。実際にビデオ会議システムを利用している同社のカスタマーの1社が、必要なときに通訳を呼び出すしくみとして使っているのだという。

 この会社は、もともと病院向けのカスタマーサービス用のシステム統合を行っていたところ、そのうち医療現場向けの通訳をビデオ会議で呼び出すシステムも開発することになったという。

 移民の多い米国では、ヒスパニック系をはじめとして、東欧、中国、ロシアなどの出身者が多い。日常生活では母国語で通したり、どうにかカタコトの英語を使って過ごしたりしていても、いざ医療となるとコミュニケーションは重要になる。お腹が痛いといっても、鈍い痛みなのか、それともピリピリした痛みなのかによって、診断はまったく違ってくるからだ。

 そこで大きな病院では、病院付きの通訳を抱えているケースもよくある。患者の予約時間に従って、必要な言語の通訳がその場に居合わせてくれるわけだ。

 だが、そんなぜいたくな病院はほんのひと握りの高級病院。たいていの場合は、「そのへん」にいる人たちに向かって、「誰かスペイン語を話せる人はいませんか?」と叫んだりすることがほとんどのようだ。時には、病院の清掃を担当しているおばさんが手伝ってくれたりすることもあるという。

 そんな心もとない状況を変えたのが、オンデマンド通訳システムである。「ALVIN(All Language Video Interpreter Network)」と呼ぶオンデマンド通訳システムを提供するこの会社、米パラス・アンド・アソシエーツの場合は、いくつかの病院チェーンが共同で契約する医療専門通訳協会の400人のメンバーを、クリックひとつで呼び出せるようにした。

オンデマンド通訳システムのイメージ(米パラス・アンド・アソシエーツのWebサイトより引用)
オンデマンド通訳システムのイメージ(米パラス・アンド・アソシエーツのWebサイトより引用)

 画面には、スペイン語、中国語、ロシア語、ポーランド語などのボタンがあり、必要な言語をクリックすると10秒もたたないうちに通訳が画面に現れ、患者と医師との間のやりとりを通訳してくれるという。

 電話の通訳サービスについては聞いたことがあったが、ビデオ会議の、しかもオンデマンドの通訳サービスとは初耳だ。通訳は言語を結ぶのが役割だと信じられているが、実は話し手を実際に見ることが重要な仕事だ。顔の表情や身振り手振りで伝えられることはかなりたくさんある。口ではイエスと言っていても、本当のところは「乗り気でないイエス」だったということなどは、表情を見ないとわからない。