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 持てる者と持たざる者の格差を象徴するサンフランシスコのグーグルバス問題が、シリコンバレー地域まで南下してきたと思われても仕方がないだろう(関連記事)。今、シリコンバレー近くのあるビーチへのアクセスを巡って、ベンチャーキャピタリストとサーファーたちとの闘いが続いている。

 舞台となっているのはマーティンズ・ビーチで、シリコンバレーから西へ行った太平洋岸の小さな場所だ。海岸の町として知られるハーフムーン・ベイより少し南で、ハーフムーン・ベイのような賑わいのない、ひっそりとしたプライベートなところである。

 そのベンチャー・キャピタリストとは、ヴィノード・コスラ氏。インド系米国人の有名な投資家で、米サン・マイクロシステムズの共同創業者であり、後にクライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズという超有名ベンチャー・キャピタル会社のパートナーとなり、さらに今は自身のコスラ・ベンチャーズを運営している。

 コスラ氏の資産は16億ドルとも言われているが、彼は2008年に4000万ドル(約41億円)で21.5ヘクタールのビーチ沿いの土地を買い取った。その土地の中には、広大な太平洋を臨むビーチだけではなく、北側の視界を遮る見事な崖と、そしてビーチに続くたった1本の道路も含まれている。

 コスラ氏はその後、その道路を封鎖してしまった。そして両側にゲートを作り、そこに武装した警備員を立たせているのだという。

 怒ったのは、マーティンズ・ビーチの波で長年サーフィンに励み、海岸で家族や友人たちと海水浴やピクニックを楽しんできた人々だ。彼らを代表し、サーフライダー財団というNPOは、「オープンマーティン」というビーチキャンペーンを展開。それでもらちが明かなかったため、ビーチを封鎖するのは違法だとして、コスラ氏に対して2013年3月に訴訟を起こした。その判決が今夏に下るのだという。

閉鎖された道路(サーフライダー財団の2013年3月13日のブログより引用)
閉鎖された道路(サーフライダー財団の2013年3月13日のブログより引用)

 この手のビーチのプライベート化は、カリフォルニア州ではよく出てくる問題だ。どこかのホテルがビーチを独り占めしているとか、大金持ちの誰かがビーチの一部を専有してしまったといったトラブルがよく起こる。縦に長く、南北に海岸線が続く州なので仕方のない面もある。

 ただコスラ氏の場合は、このひっそりとしたビーチのほとんどの土地を独り占めしてしまったことが問題を大きくしている。一本道が封鎖されてしまったため、彼の私有地を抜けてビーチにアクセスし、不法侵入で逮捕された人々がこれまでもけっこういるらしい。カリフォルニアのビーチは、今でもちょっとヒッピーな雰囲気があるのだが、みんなのものだったビーチを億万長者が独占していることを快く思わない人々はたくさんいるはずだ。