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 インターネットサービスは、既存のビジネスを創造的に破壊するということになっているのだが、「これはちょっと行き過ぎでは?」という感じのスタートアップがいくつか出てきた。

 例えば、公共の駐車場の空きスペース情報をやり取りするサービス。代表的なものが「モンキーパーキング」で、ローマで起業しサンフランシスコでも展開中だ。しかし、いきなり大きな批判にさらされている。

 サンフランシスコは近年、新しい企業や人が増えて、ことに町の中心部や人気のレストランが集中したエリアでは車を駐車するのが至難の業だ。スペースを探して何十分もグルグル回ったり、遠くの駐車場に停めて歩いて目的地へ向かったりするのはいつものこと。十分な時間の余裕を見ておかないと、約束に遅刻する。

 目的地のすぐ近くで停められないものかと腹立たしく思うのは誰しも同じだが、モンキーパーキングはそんな人々の要望に応えようとしたわけだ。その点では、何も悪いことはない。問題は、メーターの付いた路上駐車スペースなど、公共の駐車スペースを商売のネタにしていることである。

 仕組みは、すでにそこに車を停めている人が用事を済ませて出発しようとする際に、それをアプリでアップ。ちょうどそのあたりで駐車スペースを探している人が、支払いたい値段を伝えて取引成立、ということになる。

 その逆もあり、スペースを探している人に対して、「もうすぐここが空きますよ」と連絡する。そこでもまた値段交渉をして取引成立となる。やり取りされる駐車スペースの値段は5~20ドル。複数の希望者があれば、高い値段を提示したユーザーがそのスペースを獲得する。

 モンキーパーキング側は、これは公共駐車スペースを売買しているのではなくて、あくまでも駐車スペースに関する「情報」をやり取りしているだけ、と言って、サンフランシスコ市当局からの業務停止命令をやり過ごそうとしているらしい。そんな理屈があるかと驚くが、どう見てもこれは違法だろう。そもそも、市が所有している土地がなければ成り立たない商売ではないか。

 このサービスは持てる者の便宜をどんどん拡大してしまい、その影響で普通の人々が不便な目に遭いかねないという点でも、いいものとは言えない。一部の裕福な人であれば高い金額を支払ってでもそこに駐車できるが、例えば市役所に手続きにやってきた仕事を持つ一般の人たち、近所で工事を行っている道路建設のスタッフなどは、そこにどうしても用事があるのに駐車がままならず、遠くにスペースを探しに行かなければならないとなれば、仕事に遅れたり建設業務に支障をきたしたりすることになりかねない。

パーキングメーター(イメージ写真)
パーキングメーター(イメージ写真)