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【執筆後記】
 開発者向けベータ版として配布された次期iTunes 12について記事化しましたが、公開情報を元に画面ショットなどのみを参考にして考察しました。現在は一般ユーザー向けのパブリックベータが配布されており、これを参照したであろう読者から、機能的には大きな変化はなさそうだ、というご指摘をいただきました。この経緯を踏まえて、再考した記事を掲載しました

 6月に開かれたAppleの開発者会議で公開された次期OS X、Yosemiteに「赤く新しいiTunes」が搭載されているのに気付いた人もおられるだろう。基調講演のデモには登場しなかったが、どうやら開発者向けにはベータ版が配られたらしく、いよいよその生まれ変わる姿が漏れ伝わってきた。動作がキビキビし、画面設計が洗練され、コンテンツの補足情報付与が手厚くなるらしい。これは楽しみ。この際、ちょっと夢を膨らませてみることにしよう(図1)。

図1 6月に開かれた開発者向けのWWDCでMacの新OS X、Yosemiteを披露するソフトウエア技術担当のクレイグ・フェデリギ副社長。デスクトップ画面の下に見えるドック内のiTunesアイコンに注目してほしい。
図1 6月に開かれた開発者向けのWWDCでMacの新OS X、Yosemiteを披露するソフトウエア技術担当のクレイグ・フェデリギ副社長。デスクトップ画面の下に見えるドック内のiTunesアイコンに注目してほしい。
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楽しみな真っ赤なアイコン

 これまでのiTunesのアイコンはブルーに八分音符ふたつ。そのおなじみのアイコンが真っ赤なアイコンに変わる。バージョンは12。iOS 7で始まった平らなパネルを並べたようなフラットデザインを踏襲したものとなる。噂段階のものを含めてMac関連の情報をいち早く伝える「9to5Mac.com」が開発者向けプレビューリリースの画面ショットをかなりの枚数をすっぱ抜いている(関連記事))。画面ショット集を見ると、全体的に画面が整理し直されたという印象だ。読者からのコメント欄を見ると、賛否両論。操作画面のUI(ユーザーインタフェース)は、これぞ新世代のUIという声もある一方で元のUIを維持してほしいという意見もあってまだ評価は分かれている(図2)。

図2 「9to5mac.com」が報じたベータ版のiTunes 12。<a href=http://9to5mac.com/2014/07/21/screenshots-of-redesigned-itunes-12-for-os-x-yosemite-gallery/ にアクセスすると、ベータ版のスクリーンショットが多数掲載されている。">
図2 「9to5mac.com」が報じたベータ版のiTunes 12。http://9to5mac.com/2014/07/21/screenshots-of-redesigned-itunes-12-for-os-x-yosemite-gallery/ にアクセスすると、ベータ版のスクリーンショットが多数掲載されている。
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 さらに見て行くと、各コンテンツに作品のメタデータであるタグ情報をこれまで以上に詳しく付けられる仕組みが加わったようだ。メタデータというのは、作品を補足説明する背景データのことで、曲名、参加アーティスト、作曲者などを示す情報のことだ。これまでiTunesでは曲名、アルバム名、リーダー名、アルバム参加者、作曲者、制作年くらいしか入力できず、音楽愛好家にはとても物足りなかった。たとえば、録音の良さで知られるビル・エバンス・トリオの「ワルツ・フォー・デビー」などは録音年月日、録音場所、レコーディングエンジニア名などを記録しておきたいところだが、それらを記録しておく場所がなかった。これは音楽コンテンツを管理・再生するアプリとしては致命的とも言える不備で、ユーザーの間でも不満の声が多かった。

 ようやく、今回、ユーザー定義によるメタデータ項目を追加できるようになったようで、これは大いに喜ばしいことだ。ただし、こうした付加的なメタデータをユーザーに自由に付けさせるようになると、情報カテゴリーが不統一になり、串刺し検索やユーザー間での情報交換、ビッグデータ活用などが難しくなる。当然、何らかの解決策も考慮されていると期待したいが、この分野、Appleはこれまであまり積極的に関与してこなかっただけに、果たしてどうなるのか、心配も残る(図3)。

図3 現在のiTunes 11のメタデータ編集画面。入力できるタグは曲名、アーティスト、アルバム名、制作年などごく基本的なものだけだ。正確な録音年月日、録音場所、レコーディングエンジニア、制作時の背景情報などはコメント欄に詰め込んでおくことしかできない。これでは熱心な音楽コレクターには物足りない。
図3 現在のiTunes 11のメタデータ編集画面。入力できるタグは曲名、アーティスト、アルバム名、制作年などごく基本的なものだけだ。正確な録音年月日、録音場所、レコーディングエンジニア、制作時の背景情報などはコメント欄に詰め込んでおくことしかできない。これでは熱心な音楽コレクターには物足りない。
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