PR

 先週末のニューヨーク・タイムズ紙を読んでいたら、インターネットを使った「シェアリングエコノミー」(共有型経済)で生活費を稼ぐ女性の、実にすさまじい日常が報じられていた。

 この女性はボストン在住の35歳。小学生の子供が2人いて、パートナーとも同居。かつて海軍に所属した後、会計士などの仕事をしていたが、現在は定職がない。パートナーもごく最近まで定職に就いていなかったようだ。

 この女性はたいてい午前4時に起床する。子供たちが起きてくる前に、リフト(Lyft)やウーバー(Uber)のドライバーとして、空港などへの送迎を2回ほど行う。

 これらオンデマンドのタクシーサービスを使う側は、リフトやウーバー、サイドカー(Sidecar)など、それぞれお気に入りのサービスを利用するのだが、実はドライバー側はすべてのサービスに登録して、ともかく機会を逃さないようにしているということがわかる。それだけ、仕事の取り合いが激しいということだ。

 その後、彼女は家に戻ってコンピュータをチェックし、タスクラビット(TaskRabbit)やクレッグズリスト(Craigslist)で仕事の依頼がないかを確認する。タスクラビットというのは、ちょっとした用事をやってほしい人と、そうした用事をオンデマンドで受けられる人を結びつけるサイト。もう一つのクレッグズリストは、モノの売り買い、恋人探しから、やはりちょっとした仕事をやってくれる人を探すといったことができるサイトだ。

 ここで、再び送迎のリクエストが入るので、また車を出してドライバーになる。空港への送迎やオフィスへのドライブは、だいたい25ドル前後の収入になるという。ただし、これはガソリン代などを差し引く前の額だ。

 再度自宅に戻り、子供たちを起こして朝食を作る。子供たちを送り出してからは、タスクラビットで得たやや継続的な手伝いを顧客のオフィスで行う。

 次の日はもっとすごい。その日は土曜日で、午前中から道具箱を持って顧客の家へと向かう。最近子供が生まれたばかりの家庭で、方々に転落防止用の柵やカバーを付けるのが仕事だ。これはタスクラビットで得た仕事で、以前も同じ家で同様の仕事をやったらしい。柵だけでなく、ポーチに風鈴を取り付けるといった日曜大工も加わった。2時間の労働で50ドル。

 その後は、他の顧客宅の庭を手入れする仕事をこなし、その晩に別の顧客宅で料理を作るために食材の買物に行き、さらに地元の店を評価するという仕事のために、子供と一緒にドーナツショップに立ち寄る。自宅へちょっと戻った間に、送迎のリクエストが来るので、またまた車を出して出動する。

 夜は、プライベートシェフとして顧客宅で料理。深夜になってからは、またドライバーに戻り、ボストンのクラブやレストランへの送迎を行う。家に戻ったのは、日曜日の午前5時だ。

 この土曜日午前10時から日曜日午前5時までの間に、彼女が稼いだのは263ドル。19時間の労働なので時給14ドルということになる。決して高くはないのだが、これを1日で稼いだということで見れば、悪くない額と言えそうだ。彼女も「いい日だった」と言う。ただし、「こんなことは長続きしない」と付け加えている。