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 オンライン・ビデオレンタル会社の米ネットフリックスは、映画やテレビ番組のストリーミングサービスを提供して、今や米国では知らない人がいないほどの人気の会社になっている。米国のプライムタイムの通信帯域の3分の1以上は、ネットフリックスユーザーの利用が占めているというのはよく知られた話だ。

 同社が、さらに進化を遂げているようである。

 先頃発表されたのは、中国のアン・リー監督の2000年の話題作『Crouching Tiger, Hidden Dragon(邦題:グリーン・デスティニー)』の続編、『Crouching Tiger, Hidden Dragon: The Green Legend』が、いくつかのIMAXシアターとネットフリックスのストリーミング配信で同時にリリースされるという計画。来年8月末の予定だ。

『Crouching Tiger, Hidden Dragon: The Green Legend』(Photo: Rico Torres for Netflix)
『Crouching Tiger, Hidden Dragon: The Green Legend』(Photo: Rico Torres for Netflix)
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 これはかなり驚きの発表ではないだろうか。というのも、話題映画がDVDになり、そしてネットフリックスのようなオンラインビデオレンタルで貸し出しが可能になるまで、これまでは通常18カ月ほどもかかっていた。目の飛び出るような契約料も必要だとされた。

 それが、一部の劇場とストリーミング配信が同時公開だというのだから。

 この契約が発表された9月末から、全米の配給会社や映画館からは大きなブーイングが巻き起こっているそうだ。それもそうだろう。ただでさえ、映画館へ足を運ぶ人々が少なくなっていて、唯一話題の新作映画だけが、「早く観たい」とか「大きなスクリーンで楽しみたい」という観客を呼び込める機会だったのだ。それが、封切りと同時にストリーミング配信されてしまったのでは、ますます人が来なくなる。

 今回の契約は、映画の制作会社とネットフリックスが直接結んだもので、通常の映画配給ルートを無視したも同然の出来事のようだ。しかし、同時に、われわれの映画の楽しみ方がシフトしているのだと、実感することにもなった。

 確かに新作は早く観たいし、大スクリーンの迫力は魅力だ。けれども、わざわざ時間を合わせて人ごみに出かけていって、並んで入場を待ち、映画の後でまた家まで帰ってくるのかと思うと、面倒くささが先に立つ。それよりも、家のソファに座ってクリックするだけで観られる方がずっといいのだ。

 こんな契約がこれからどんどん増えていくと、ユーザーがこれまであきらめていた新作のストリーミング配信が公開と同時に可能になるばかりか、「超」級の話題作も並ばずに自宅で鑑賞できるようになるかもしれない。すごいことだ。