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 マクロメディアは7月11日,自社のFlash技術・製品群をベース,Webコンテンツの高度な表現力やコミュニケーション機能を実現する「Macromedia Flash Platform」構想について,都内で記者説明会を開催した。
ビデオの上にビデオを重ねて表示できる,次世代Flash Player「Maelstrom」のアルファ・チャンネル機能

 同構想では,ブラウザーやOS,ハード機器など,利用環境を問わないのが基本。クライアント/サーバーソフト,開発ツールなどを総合的に提供する。なかでも,同社が今年中に正式発表を予定している次世代Flash Player「Maelstrom」(メイルストローム,開発コード名)は,同構想を牽引するカギになるソフトだ。

 Maelstromが重点を置くポイントは4つ。「表現力の強化」と「パフォーマンスの向上」「滑らかなフォント表示」「効率が良く高品質なビデオコーデック」である。

「Maelstrom」を使えば,Webページ上で炎が燃え上がる様子など新しいグラフィックス表現が実現しやすくなるという

 表現力の強化点としては,例えば,ビデオ映像の上にビデオ映像を重ねて表示することもできる,透過情報を保存するアルファ・チャンネル機能を搭載。また,パフォーマンスについては,数値データをリアルタイムに分析しながらグラフ表示する場合など,現行の「Flash Player 7」に比べ,Maelstromが圧倒的に高速であるとデモを行った。

 また,マクロメディアは「画面・スクリーン上での表現力の高さに注力する」(米マクロメディア副社長CEOテクノロジーアドバイザーの田中章雄氏)。そのため,画面上で文字をすっきりときれいに見せる文字表示機構「Saffron」(サフラン,開発コード名)をMaelstromに搭載する計画だ。同様の機構としては,マイクロソフトがWindows XPに搭載している「ClearType」などがあるが,こうした表示環境をWindowsだけではない,様々なOS・プラットフォーム上で実現できるようにするのが目的だという。

「Malestrom」では,データを解析しながらグラフを表示するといった描画パフォーマンスの向上が見込める Windowsに限らず様々な環境でスクリーン上の文字がきれいに見えるよう,「Malestrom」では新しい文字表示機構「Saffron」(画面右側)を搭載する

 こうしたMaelstromの新機能を利用するには,今後,同社が提供予定の対応オーサリング環境「8Ball(エイトボール)」(開発コード)などでコンテンツを開発する必要がある。ただ,「既存のコンテンツについても,変換作業により簡単にMaelstromに対応にできる。また,パフォーマンスについては,既存のコンテンツのままでも若干の向上が見込まれる」(田中氏)という。

現在開発中の,Flashを利用した携帯電話のユーザーインタフェース

 こうした一連の取り組みについて,日本法人社長の大沢幸弘氏は「マクロメディアは,Webコラボレーションのソフトウエアベンダーになりつつある」と話す。実際Flashは,パソコンだけでなく,NTTドコモやKDDI(au),Vodafoneの携帯電話端末に搭載されるなど,Flashを組み込んだモバイル機器の世界での出荷台数は,ここ1年で1200万台から3500万台へと約3倍に増加したという。現在も「Flashを利用することでシンプルで使いやすい画面表示を実現する新しい携帯電話が開発されている」(田中氏)といった具合に,その勢いは止まらない。

 米マクロメディアは今年4月,米アドビ システムズにより買収され,今秋にも両社の統合が完了する見込みだ。企業規模も大きくなり,ビジネスの拡充を図るマクロメディアが今,意識しているのは,急速に対抗色を強めてきたマイクロソフトである。

 マイクロソフトは,次世代Windows「Longhorn」に合わせて,Webとも連携する高度なグラフィックス機構「Avalon」を提供する計画だ。また,アドビのPDF対抗とも目されるドキュメント技術「Metro」も,Longhornに合わせて開発中である。

次世代Flash Player「Maelstrom(メイルストローム)」のデモをする米マクロメディア副社長CEOテクノロジーアドバイザーの田中章雄氏 今後の製品開発の上ではライバルになる可能性があるが,「マイクロソフトとも協力する」と話すマクロメディア日本法人社長の大沢幸弘氏

 高度なグラフィックス表現を武器に,Web環境におけるドキュメント・コミュニケーションの標準の地位を争う格好になったアドビ・マクロメディア連合とマイクロソフト。今年から来年にかけて,両者はがっぷり四つに組んでぶつかり合うことになりそうだ。(服部 彩子=日経パソコン)