PR

 くねくねと波打つカラフルな枝が放射状に広がり、所々に絵や枝ごとに文字が書き込んである、怪しげな図。初めて「マインドマップ」を見た人は、たいてい戸惑う。何を描いたのか──。

 「実は、脳で考えたことをそのまま外に取り出し、目で見えるように描いたもの」。創案したトニー・ブザン氏はマインドマップをこう説明する。人間が考え事をする場合、あれこれ思いを巡らせながら、思考を広げ深めていく。それを覚えておこうと文章に書き留めたり個条書きにしたりしても、そこに至った経緯や考え方のすべてを紙の上やパソコンの画面に残すことは難しい。結果として、何らかのひらめきが永久に失われてしまう場合もある。

 ブザン氏は1970年ごろ、脳の思考回路を紙の上に出力する方法を思い付いた。それがマインドマップである。言語中枢のある左脳を使って展開した論理的な思考の流れ、そしてその際に右脳が思考を補助すべくイメージしていた像と結び付ける。思考の流れを枝で、像をカラフルな絵で表すようにする。マインドマップの概念を解説した書籍は世界約100カ国で出版され、500万以上の人に読まれたという。日本でも、数年前から書店のビジネス書コーナーに関連書籍が並ぶ。覚えやすい絵が、子供たちの記憶を助けるとして、教育現場で活用する例も少なくない。

 人間の脳について研究を続けてきたブザン氏にとり、パソコンの“脳”はどう映るのか。「まだまだ生まれて間もない子供同然の状態。ただ、もっといろいろ教え込めば、いずれ人間と心が通う友人のような存在になるに違いない」と期待する。もっとよく見たいという欲求から、人間は眼鏡を生み出した。いずれ、もっと考えたいという欲求が、パソコン自体を脳に埋め込む方向に人類を動かすかもしれない。ブザン氏は、そんなSFのような将来像が夢物語ではないと考えている。