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 経済学者である野口悠紀雄氏が、自ら考案した書類の整理術を紹介した『「超」整理法』(中央公論新社)。時系列に並べるだけのシンプルな理論は、書類整理に悩んでいた多くのビジネスパーソンに受け入れられ、一大ブームを巻き起こした。効率的で理にかない、長続きもしやすい。現在も信奉者は多く、書籍は版を重ね続けている。

 そんな野口氏が、15年ぶりに続編として『超「超」整理法』を出版した。今度のテーマは、デジタルデータの整理術。「データはパソコンに置かず、何でもインターネット側へ投げ込む。決して分類しない」のが、コツだとする。

 執筆を後押ししたのが、いわゆるクラウドコンピューティングの登場だった。同氏は米グーグルのWebメール「Gmail」が最強のツールだとみている。メモも今飲んでいる薬のリストも、とにかく自分あてにメールで送る。紙の書類も、ドキュメントスキャナーでPDF化し、メールで送る。すると、自分専用のデータベースが自然にネット上に出来上がる。そんな理論である。

 容量が事実上無限のGmailだから、いくらでも保存できるし、どこからでも参照できる。おまけに検索機能が強力。望む対象をいつでも瞬時に引き出せる。つまり、データをフォルダーへ整理する苦労から我々は解放される。

 グーグルという一企業に依存することに、抵抗はないのか。「先日もGmailがダウンしたし、危険は感じる。ただパソコンをなくしたりハードディスクがクラッシュしたりする確率と、巨額を投じたGmailのサーバーがダウンする確率はどちらが高いか。答えは明白だ」。

 超「超」整理法に基づき、クラウド化されたサービスを使って仕事をする前提に立つと、Webブラウザーが動き、キーボードさえ使えれば十分、というのが同氏の持論。「現在のパソコンは、いずれ数千円のシンクライアントのような装置に姿を変えるだろう」。