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 米インテルで、Atomプロセッサーを使ったMID(モバイルインターネットデバイス)を担当しているウルトラ・モビリティ事業本部のアナンド・チャンドラシーカ上級副社長に、MIDの現状と今後の展開についてインタビューした。同氏は2008年9月30日から開催されたCEATECのゲスト講演で来日した。

 インテルのいうMIDとは、ノートPCよりも小さく、なんらかのワイヤレス通信機能を持ちインターネットアクセスが可能な、パソコンと同じアーキテクチャーを持つ機器である。国内の製品なら、ウィルコムの「D4」(製造はシャープ)や富士通の「LOOX U/B50N」などがこれに相当する。インテルでは、同じAtomプロセッサーを使っていても、Eee PCに代表される低価格ミニノートは位置づけが違うとし、これらはネットブックと呼び分けている。

■低価格のネットブックに比較するとMIDの普及は遅いように感じますが?

 我々は携帯電話用のプロセッサーを手がけたときに経験しましたが、新しいカテゴリーを作るというのには4~5年の期間が必要です。ネットブックのほうが、我々の予想を超えて大きく広がったと認識しており、MIDについては、もともと、今年に大きな需要を予想していたわけではありません。

 ネットブックでは、Windows XPやLinuxを使っていますが、MIDは、Windows Vistaが優先されていたため、まだ、XPを搭載した機種は登場していません。しかし、今年の第4四半期には、XPを搭載したMIDも登場するので、さらに低価格化することも可能になると考えています。

 MIDに関しては35件の採用があり、すでにそのうち10機種が市場に投入されていて、今年の第4四半期にはさらに10機種が登場する予定です。残りは、来年の第1四半期までに登場するでしょう。

■MIDというカテゴリーが立ち上がるためには、Atomプロセッサーなどインテルが用意するもの以外には何が必要だと考えていますか?

 MID普及のためには、ブロードバンド・ワイヤレスのインフラが必要でしょう。必ずしもWiMAXというわけではありませんが、WiMAXのような高速なワイヤレス通信が必要です。

 もう1つは、こうしたサイズのコンピューターにぴったりとあったユーザーインタフェースです。いままでにないサイズのコンピューターで、新しいユーザーが、どれだけ簡単に機能を利用できるようになるかが、普及のもう1つのポイントです。

 パソコンや携帯電話のインターフェースは、この10年以上、ほとんど変わっていませんでした。それらをそのまま、新しいカテゴリーの製品に使うことには無理があります。

 携帯電話では、iPhoneが登場してユーザーインタフェースが大きく変化しはじめました。それにつられて、新しいユーザーが増え、新しい使い方が広がりました。MIDでも同じように新しいユーザーインタフェースが必要だと考えています。

 我々は、Atomプロセッサーで性能を向上させ、消費電力を下げるということを目標にしています。いくら直感的なインタフェースを用意したとしても、性能がそれに伴わなければよい経験をユーザーに与えることはできません。高いパフォーマンスは、もちろん、アプリケーションにとっても必要ですが、直感的なインタフェースにも必要なことなのです。

■インテルでは、こうしたMID用に小型で消費電力の低い通信デバイスを開発する予定はあるのでしょうか?

 WiMAXや無線LANということであれば、短く答えると答えは「はい」です。長期的に考えると当然そうなります。逆にいうと、MIDにも利用できるような電力効率のよいデバイスは、ノートPCに使っても良い結果を得ることができます。現在では、ノートPC用に作ったものをMID用に使っていますが、将来的には、MID用に作ったものを強化してノートPCなどで使うようになるでしょう。

■次世代AtomプラットフォームであるMoorstown(開発コード名)で、MIDは大きく伸びると予想していますか?

 Moorstownでは、現在のAtomプラットフォームよりも関心が高まり、製品設計の深いところまで我々が入って行けると考えていますし、携帯電話のような消費電力という点で現在のAtomが利用できない分野でも使われることになると思います。数量についてはやはりもう少し時間が必要だと考えていますが、Moorstownのほうが多く出荷されることになると、言うことはできるでしょう。

 実際の問題としては、具体的にどんな製品が出てくるのかにかかっています。新しいカテゴリーの製品であり、ユーザーがどのようなものを選ぶかについても、まだ分かっていないことがあります。現在でも、同じLinuxを使っていてもキーボードのあるもの、ないもの、スライド式やノートPCと同じクラムシェル型があります。このうちのどれがユーザーに好まれるのかは、もう少しユーザーが増えてこないとわかりません。

 逆にいうと、多くのメーカーが参入して、いろいろな種類のMIDが登場することで、ユーザーからさまざまなフィードバックを得られ、MIDという製品のイメージができあがっていくことになると思います。

 Moorstownでは、プロセッサー自体がより小さくなり、消費電力も下がるため、デザイン的にはもっと自由度が上がると考えています。