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 「家を建てるなら掘っ立て小屋より大きなビルがいいってことですよ」。

 落語協会のサイトが立ち上がったのが1999年末。それとほぼ同時に、寄席の様子を無料で配信する「インターネット落語会」を開始した。動画を配信するサイトなどまれだった時代に踏み切った挑戦。その理由を春風亭正朝師匠は冒頭のように振り返る。

 今や落語協会のサイトは落語ファン必見のサイトだ。前述のインターネット落語会のほか、都内の寄席の演目や協会に所属する芸人のプロフィールの紹介、協会の最新情報や楽屋の裏話などをまとめたメールマガジン(メルマガ)の配信もしている。今年2月にはモバイルサイトも立ち上げた。

 驚くのは、運営しているのが落語協会所属の落語家や芸人たち自身ということだ。月ごとに当番を決め、興行やけいこの合間にコンテンツの投稿、メルマガの編集などをする。

 活動の根底にあるのは、「寄席に足を運んでもらいたい」といういちずな思いだ。かつてテレビで中心的な位置を占めていた落語番組は、時代の流れか、すっかり少なくなってしまった。それに伴い、寄席に足を運ぶ人も減っている。「このままでは落語が忘れられてしまう」。自分たちの手で、情報を発信していこうと考えた。

 実際にインターネットで情報を発信し始めると、インターネットは格好のメディアだったという。「正直、インターネットは噺家(はなしか)のためにあるんじゃないかと思ったくらい」。

 インターネットはテレビと違い、落語家が個人で情報を発信できる。また、落語をじっくり見てもらえるのも強みだ。「テレビは意外に落語向きじゃないんです。テレビだと、カメラのアングルが変わったり、コマーシャルが入ったりして気が散るでしょ。ネット配信にはそれがない。かえって落語を楽しめるんじゃないかな」。