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碓井 稔(うすい みのる)
1955年、長野県生まれ。79年、東京大学工学部卒業後、信州精器(現セイコーエプソン)入社。インクジェットプリンタ開発設計部長を経て、2002年から取締役。この6月に、花岡清二・前社長の後を受け、代表取締役社長に就任した
(撮影:村田 和聡)

 エプソンのプリンター事業を牽引してきた“ミスターエプソン”が、この6月、53歳の若さで社長に就任した。前面に打ち出すのは、環境重視とランニングコスト削減の2枚看板。「インクジェット・プリンターは、省エネルギーとコスト削減を一度に実現できる。ぜひ、ビジネスの現場にも浸透させたい」と意欲満々だ。

■御社は、この春にビジネス向けのインクジェット・プリンターを初めて発売しました。職場の印刷はレーザー・プリンターが常識なのに、なぜインクジェットを投入したのですか。

 一言で言うと、世の中の流れとインクジェット・プリンターの特性が、うまくマッチしてきたのです。インクジェットは劇的な省エネ効果をもたらすうえ、日々のランニングコストも大幅に削減できる。この特性をビジネスシーンにも生かしたいと考えました。

 第1のメリットは、消費電力の削減です。インクジェットの消費電力は30ワット前後で、レーザー・プリンターの1割程度に抑えることができます。これが、オフィスの省エネルギーの観点から一躍脚光を浴びるようになりました。米国の副大統領を務めたアル・ゴア氏も、著書「不都合な真実」のなかでインクジェットの利用を強く推奨しています。

 2つ目のメリットは、メンテナンスのコストが安くなることです。例えば、インクジェットの交換用カートリッジは、レーザーと比べると構造がとてもシンプルで、その分コストも割安になります。同じインク容量で比べると、レーザーのトナーカートリッジより2、3割は安くなると思います。

 また、用紙代を節約する観点からすると、両面印刷がスムーズに行えるのもインクジェットのメリットです。レーザーで両面印刷をすると、印字部分とほかの部分で摩擦係数が異なるため用紙の排出が悪くなり、紙詰まりを起こしやすくなる。それを防ぐため、きちんと技術的な対策を講じる必要があります。インクジェットはその心配がありません。印字部分とほかの部分の摩擦係数がほぼ同じなので、通常のコピー用紙なら問題なく両面印刷できます。

■消費電力、カートリッジ交換、用紙代…。すべてランニングコストの低減につながりますね。

 その通りです。実は、企業ユーザーの一番強い不満は「印刷のランニングコストがかかり過ぎる」ことです。従って、我々メーカーは、コスト削減の努力をもっとしなくてはなりません。

 特に、今年に入ってからは、原油高の影響で用紙代が高騰し、電力料金の大幅な値上がりも予想されています。となると、オフィスの印刷コストを1円でも抑えたいという企業側のニーズが、今後顕在化してくるはずです。その意味でも、インクジェットの価値は高まると思います。