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 業務の効率改善には職場のIT化が重要な課題の一つ。しかし、2008年、大きな不況の波が押し寄せている。日経パソコンが実施したアンケートでも「IT投資を控える」と回答した意見が目立った。そんな中で、企業はどう考え、どんな対策を立てているのか。IT環境を整える役目を担うITリーダー、情報システム担当者にインタビューを実施した。第1回目の今回は、伊藤忠アーバンコミュニティでCIO(兼)CRM推進部長を務める小柳津 誠氏に話を聞いた。

■御社の業務形態は?

 当社の業務は、全国にある700棟/7万戸の分譲マンションの管理を主としています。ほかに、賃貸マンションやオフィスビル・商業施設の管理なども展開しています。

 私が所属するCRM推進部は、コールセンター部門と情報システム部門の2つの部門があり、業務は全社における情報化の推進、情報システムの設計・管理、コールセンターの運用、人材教育など、多岐にわたります。

■どういう場面でCRM(顧客情報管理システム)は役に立っているのか。

 当社の業務である管理業はサービス業だと考えています。顧客満足度を高めようとする場合、サービスに対する顧客の声をいかに拾えるかが鍵になります。

 例えば、顧客が不満を漏らしたとします。しかし、不満は関心の表れでもあります。顧客が本当に不満であれば、クレームをせずに二度と見向きしなくなるだけ。基本的には該当商品やメーカーに思い入れがあるからこそ、コールセンターにクレームを付けるのです。そういった顧客の心理をきちんと理解しなければ、顧客満足度は向上しません。クレームを迅速に対処し、顧客離れを食い止める。そういう意味でCRMが大切な役割を担うと考えています。

■顧客の心理とCRMを結び付けるにはどうすればよい?

 システムに入力された情報だけでは、相手の表情はなかなか見えて来ません。そこで、コールセンターで対応したオペレーターが、顧客の声をデータ化する際に、「怒っている」「喜んでいる」といった顧客の感情も項目化して入力するようにしています。そして、最初に対応した時の感情と、最後に対応した時の感情を比較して顧客満足度の変化を見るのです。

 もちろん、かなりの期間、大量のデータを蓄積しなければ意義のある分析はできないと考えています。現在、年間1万件に上る顧客からの電話の内容や、対応終了後に発送するアンケートなどでデータを積み重ねている状況です。

■経営陣に費用対効果を説明するのが困難なのでは?

 情報化による投資対効果の理解を得るには、情報システム部門が経営陣に、客観的データを基にした具体的なプロセスや成果を説明することが大切だと感じています。

 一般に、情報システム部門の人間は、システムに関して自分が正しいと考える傾向があると思います。しかし、それは情報化という狭い視野の意見であることが多いのです。答えを一方的に述べて承諾を得るのではなく、経営陣とシステム担当者の双方が、システム導入の意味をきちんと理解できるようにすることが重要なのです。

 以前、自社サイトの方向性を議論する当たり、専門の調査機関に評価してもらいました。その際、情報システム部門が肯定的に考えるコンテンツと、経営陣が推進したいコンテンツ、評価が定まらないコンテンツをあえて組み入れました。そうすることで、情報システム部門の現場と経営陣の意見を、世間の評価に照らし合わせることができるからです。要は共通の体験をすることで、互いが納得する方向性が導き出せるということです。

■今後関心のある取り組みは?

 現在、全社的に業務を軽減するために、業務上必要な情報を可能な限りデータベース化して、グループウエアを利用した情報共有化を進めています。現状では、業務データが個々の担当者ごとに保存されており、社員同士の情報共有や業務データの検索が非常に難儀でした。このシステムが運用に乗れば作業効率が向上するでしょう。

 現場では顧客との対応のためのレポーティングやそのデータ収集等のために相当な時間を割いています。先に述べた通り、当社の業務はサービス業。顧客ときちんと接するためには、社員に時間のゆとりが必要です。新システムを導入することにより、顧客との対応に割ける時間が増え、結果的にサービスの質の向上につながると考えています。

●企業プロフィール
設立:1982年
主な事業:マンション、オフィスの管理や保全業務など
従業員数:1834名
伊藤忠アーバンコミュニティのサイト