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 公私を問わず、コンピューターを使う人なら必ずと言っていいほど、検索サイトを利用しているだろう。多くの検索サイトが乱立する中、「ググる」という造語が一般的になるほど浸透したのが「Google(グーグル)」である。グーグルは1998年にアメリカで誕生。検索連動型と呼ばれるネット広告ビジネスによって業績を急拡大する一方、ニュースや地図、メール、動画投稿などの幅広いネットサービスを無料で提供。ネットユーザーに多大な影響を及ぼす企業に成長した。そのグーグルの日本法人において、1月に社長に就任したのが辻野晃一郎氏だ。今回は、辻野社長に今後の抱負や、グーグルおよびネット社会のこれからについて語ってもらった。

■新社長としての抱負をお願いします。

 今までのグーグルはどちらかと言うと、日本においてその存在をあえて見せないようにしてきました。米国発のグローバル企業として、インフラの共有、オペレーションの統一、一元的なマネージメントを重視したためです。

 次のフェーズでは、もっと顔を見せて、我々が何をしているかを語ったりするのが、非常に重要になってくると考えています。国内での存在感を示し、パートナーとの新しい関係もどんどんつくりたい。また、日本の国益につながる活動も積極的に展開し、日本という国家に対しても、我々の活動をきちんと理解してもらえるように、つながりを強化したいですね。グーグルは創業10年。日本でのビジネスを始めて7年がたちました。今、転換点に来ていると強く感じています。

 そこで、私が強く意識しているのは、宇宙の彼方から地球をいつも見ているようなグローバルな目線です。世界中にいろんな国や地域があって、異なる環境で違う言葉を使って生活している人たちがいる。こうした人たちのことを常に意識しながら、地域の特性を把握し、強みや弱みをジグソーパズルのピースのように組み合わせていくのです。

 地域のことは地域に任せようというのが、グーグル全体の流れです。世界をアジア、ヨーロッパなどに分け、それぞれの地域に権限を持たせ、デシジョン(決定)とアクション(行動)のスピードを上げようとしています。前のフェーズでは上から下へ水を流しましたが、今度は、下から上にも水を流すのです。

 日本について言えば、モバイルが強い、品質に非常にこだわる、動画が大好きといった、日本のマーケットや国民性における強みや弱みを理解し、特に、日本の強みをうまく生かしながらピースを作り、グーグル全体のグローバル化の流れにはめ込んでいきます。技術開発の面などで日本のポジションは非常に大きいので、発言力をきちっと担保し、日本の影響力をグローバルに広げたいですね。

■ビジネスの中核となるネット広告市場をどのように見ていますか。

 日本のネット広告市場の可能性は非常に大きいと考えています。けれど、ネット広告全体で見ると、日本の貢献度は現状ではまだ小さい。だから、そこを広げていきます。グーグル全体の成長を加速させるために、日本市場での成長が強く求められています。本社からの期待に応えるために、ビジネスの規模を拡大し、機会を増やすことが、私に課せられた最大の使命だと感じています。

 今のような不況下では、一般に広告主は宣伝費を削ろうと考えます。それと同時に、少ない宣伝費を効率的に使える場所を求めます。ネット広告は、この両方のニーズを満たします。また、ユーザーの財布のヒモは固くなりますが、より安く、より良いものを探そうと、情報を集めるようになるので、ネット検索の機会が増えます。グーグルにとっては、不況もチャンスになるのです。

 誰もが効率を求めれば、ターゲットの絞り込み方法もきめ細かくなっていくでしょう。グーグルは、検索結果のクオリティーに対してアドバンテージを持っていると同時に、きめ細かなターゲティングをする技術力、高い品質を保つ技術力を持っています。広告に関するネットワークもあります。ですから、広告マーケテットにおいて、これまで以上の存在感や優位性を出せると考えています。

 また、携帯電話やミニノートに代表されるモバイル市場には、無限の可能性がありますね。土俵としては、もうパソコンと携帯電話の世界は何も変わりません。小さな機器でも、フルブラウザーを使ってリッチなコンテンツを閲覧できる世界が、モバイルにもどんどん広がっていきます。今、デスクトップパソコンで実現されている世界は、必ずモバイルでもできるようになります。同じクオリティーの情報を、移動しながらどこでも見られるようになるのです。