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 DIPExとは「Database of Individual Patient Experiences」の略。患者が自らの病に関する体験を語り、その映像をインターネットで公開する。そして、それを見た医療関係者や同じ病で苦しむ人に役立ててもらおうという取り組みだ。2001年に英国で始まり、現在、英国版では40疾患、2000人以上のインタビュー映像を検索、閲覧できる。

 これと同様のデータベースを日本で作ろうというのがDIPEx-Japanの活動である。自身はその事務局長。現在は、2009年6月の日本版データベース公開に向け、準備中だ。

 DIPEx-Japanの活動に携わる以前から、ジェンダーや身体と医療のかかわりに関心を持ち、婦人科疾患の自助グループ活動などに参加してきた。その過程で、「インターネットにより、病気に関する情報を取り巻く環境はずいぶん変わったと感じていた」という。

 かつて、患者が病院以外で病に関する情報を得たり、交換したりする場は、患者の自助グループなどごく限られていた。それが、インターネット普及後は、企業や病院が医療情報を発信。患者が匿名で闘病記を書き込む掲示板やブログなども登場し、病に関する情報源は急増した。

 「ただ、これらの中には信頼できるかどうか分からない情報もある」と指摘する。また、「病気の情報は発信者の顔が見えるからこそ伝わることがある」とも。

 DIPExの映像で語るのは、まぎれもなく患者自身だ。それ故、話にまとまりがないこともある。だが、「その中に、時折含まれている宝石のような言葉が、見る人に情報“プラスアルファ”の影響や勇気を与えるんです」。

 公開する映像は患者だけでなく、医療関係者にも見てほしいと話す。「医療現場で患者の本音を聞くのは難しい。患者の視点を得る貴重な機会です。また、より良い医療を目指す研究の材料にもなるはずです」。