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 中村俊輔がフリーキックを蹴る瞬間、相手の壁はこう見える──テレビ朝日が2008年10月15日のサッカー日本代表対ウズベキスタン代表戦で、斬新な映像技術「ウルトラビジョン」を導入した。

 カメラが撮影した映像から特定のシーンを静止画として切り出す。特別なソフトウエアを使って、パソコン上で3D世界のフィールドとスタジアムを作成し、前述の静止画から各選手の映像を切り取って作った3Dの選手像を置けば準備完了だ。後は縦横自由にカメラアングルを変えて、多様な角度から各選手の位置取りなどを確認できる。

 ウルトラビジョンは、米スポーツビジョン社が開発した技術。テレビ朝日技術局制作技術センターの伊藤氏に導入の経緯を尋ねたところ、「2008年9月末に米国を訪れ、デビッド・ベッカム選手の試合で採用されている映像を見て導入できると感じた」という。

 特に気にした点は映像の処理にかかる時間。「処理に数カ月かかるというのでは使えない。実際には5~10分で処理できることが分かり、導入に踏み切った」。映像の処理に使うパソコンはスペックこそ最先端だが、通常のデスクトップ。放送後の視聴者からの反響は「今まで見たことがない映像で面白い、もっと見たいという声が多かった」。

 テレビ朝日はウルトラビジョン以外にも、1秒間に300コマ以上の撮影が可能なウルトラスローを導入済み。フィギュアスケートでは、ジャンプ中の動作を連続写真で見せる技術をスポーツビジョンから導入。「注目度の高い大きなイベントの中継が多いため、新技術の導入は世間にインパクトを与える意味でも積極的にやりたい」と語る。

 ウルトラビジョンについては「2010年ワールドカップの最終予選中は使いたい。ほかにも違った技術の提案も考えている」。次はどんな新しい技術が飛び出すのか、今後の挑戦が楽しみだ。


※写真はテレビ朝日「サッカー2010年ワールドカップ南アフリカ大会アジア地区最終予選 日本代表対ウズベキスタン代表戦」(2008年10月15日放送)より