PR

 政府が教育でのIT導入や行政の情報化などを掲げて「e-Japan戦略」を打ち上げたのは2001年。その6年前に「情報先進県」づくりを目指して三重県知事に当選したのが北川氏だ。「消費者にとって使いやすいIT」を目指した北川氏が語る、行政とITの在り方とは──。

■行政にITが必要と感じたのは。

 90年代初頭に台頭してきた「リエンジニアリング」※1という理論がきっかけでした。行政において、ITを利用して今まで縦割りだった指揮系統を横展開しようと考えました。組織自体の指揮系統もそうですが、官と民も互いが協力しながらやっていきましょう、と。これは企業の「カスタマーサティスファクション」と同じ。お客さんを納得させる商品を作らない限り、「組織」はダメになる。行政を「命令、指揮、管理、監督」から「気付き、共鳴、誘発、相互作用」に変化させたかった。女性でも、高齢者でも、障害者でも平等に社会に参画できるインフラとして、パソコンやインターネットは絶対に必要。遅かれ早かれ、そういう時代が来ると信じていたのです。

■その取り組みは道半ばです。

 この取り組みは永遠に続くのだと思います。現在「何合目」とは言えない。ただ、確実に言えることはハードを超えてソフトの世界、マネジメントの世界に突入し始めているということです。ハードはある程度整ったけれど、そこに乗る文化や意識を変えていくことが今後の課題です。

 政府は今まで積み上げたものを前提とする「事実前提」ではなく、こんな日本にしたいと描く「価値前提」で物事を考えてほしい。価値前提で考えれば、誰もが参画しやすいユニバーサルデザインを主眼とした社会になるはず。それを可能にするのが、パソコンやインターネットです。

■子どもの教育の面でも行政は大きな役割を担っています。

 教育形態はIT社会に対応しきれていない。大量の情報とその速度を考えると本当に危ない。人間力を磨くような教育にシフトにしないと。

 行政の仕事として、偏差値教育をやめることが1つ考えられるでしょうね。ネットの時代は自己決定、自己責任の時代。つまり、そういった人間力を付けないと、生き延びていけないようになるんです。教育の比重を偏差値から人間力とか、生きることとか、たくましさにシフトしていく必要があります。テストの点数は良くても、もろかったり、家に引きこもったりする人が多いですよね。今後は、「算数が100点」といった「要素的」な部分ではなく、人間としてどうあるべきかの「全包括的」な教育が必要になってくると思います。

※1 Business Process Re-Engineering。既存のビジネスモデルやプロセスを抜本的に変えるというコンセプト