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 オフィスで使える個人用スキャナーの需要が高まっている。机の上に小型スキャナーを置き、名刺を読み取って管理したり、紙の書類をPDFに変換して保存したり……。こういった製品は、一般に「ドキュメントスキャナー」と呼ばれている。この市場で、大きな存在感を示すのが「ScanSnap」を開発・販売するPFUだ。同社は、業務用スキャナーの市場でトップシェアを誇る。年度替りを控えたこの2月に、PFUはScanSnapの新しいモデルを発売した。今回は、同社の宮本研一経営執行役に、ScanSnapの開発経緯やスキャナー市場の動向、新製品の機能について話を聞いた。

■ScanSnapの開発に至った経緯を教えてください。

 当社が業務用スキャナーを扱い始めたのは、1980年代半ばです。現在、全世界の業務スキャナー市場において、約50%のシェアを獲得していると見ています。当社の出荷台数は、約80%が欧米向け、残る20%が日本を含むアジア向けです。

 この比率からも分かるように、業務におけるスキャナーの有効活用は、日本よりも欧米の方が進んでいます。理由の一つは、法律の整備状況の違いです。概して、海外の方が進んでいます。例えば、金融機関や医療機関でトラブルが発生したら、米国などでは48時間以内に証明書を発行する必要があります。つまり、膨大な紙の書類の中から必要書類を探していては間に合わないのです。このため、文書をすべて電子化して検索可能にすることが、法律で定められています。日本にも似た法律はありますが、推奨にとどまり、強制力はありません。

 国内では、職場にスキャナーが設置されていない場合があります。また、置いていても、使われていないケースがあります。当社の開発者たちは、自分たちの周囲を見渡して、こうした状況に気付きました。しかし、国内でスキャナー活用を広めたくても、メーカーの立場で法を整備することはできません。そこで我々は、「大きい」「難しい」「紙のセットが面倒」といった業務用スキャナーのマイナスイメージを払拭した、新しいコンセプトの製品を作ろうと考えました。自分たちが使える、または使いたいと思えるようなスキャナーを目指せば、法整備の有無にかかわらず、スキャナー活用が進むと考えたのです。結果、それが企業内個人をターゲットにした「ScanSnap」として実を結びました。

 実は、ScanSnapの前身となる機種は1999年に発売しました。しかし、この製品は国内で全く受け入れられませんでした。その反省を踏まえ、改良を加えて2001年にScanSnapを出したのです。そこから「ドキュメントスキャナー」と呼ばれる機器が急速に広まり出し、競合製品も出始めました。 ScanSnapは業務用スキャナーとは事情が異なり、国内と海外でほぼ同じ台数を出荷しています。

■ユーザーに受け入れられるために、どのような工夫をしていますか。

 企業内個人をターゲットにするScanSnapのコンセプトはハッキリしています。我々はユーザーに、使いやすい、簡単だと感じてもらうことを追求しています。

 では、簡単さとは何でしょうか。実は、我々も最初は分かりませんでした。メーカーとして業務用スキャナーを作っていたものの、スキャナーユーザーの気持ちをくみ取ることには慣れていなかったのです。そこで、自分たちの製品を社内に配ることから始めました。そして、便利だと思った機能、逆に不便を感じた機能、使いづらい面、こんなことができたらいいという意見などを聞き、製品に盛り込んだのです。ですから、ScanSnapにはユーザーの視点を盛り込めたと自負しています。結果として、それが大きな強みになったのです。

 カタログを比較すれば、ScanSnapと同様の機能は、ほかのメーカーの製品も備えているでしょう。ただ、メーカー間ですべて同じかというと、そうではありません。スペック上は同じでも、ユーザーにとって使いやすい価値として提供できているかどうかには差があると思います。例えば、ある機能を動かすのに、いろいろな画面を追いかけながら設定しなければならないとしたら、その機能の価値は半減します。当社の製品は、そこを「簡単」にしています。我々の製品では、ユーザーは何も考えずに紙をセットしてボタンを押すだけで、必要な機能が自動的に選択され、紙を読み取ります。読み取りスピードにしても、いたずらに上げるのではなく、むしろ高速モードの性能を抑え、どの解像度でも同じ感覚で使えるようにしています。こういった工夫が、支持につながっていると思います。