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 ひと昔前に比べて、ディスプレイを自らで設計・製造するメーカーの数は激減した。大半のメーカーが、製品をOEM(委託を受けた相手先のブランドで製品を生産・供給すること)によって調達しているからだ。しかし、中には品質にこだわり、ハードウエアやファームウエアを自社で開発し続けているメーカーもある。それが石川県に本社を構えるナナオだ。同社の製品は、CRTの時代から正確な表示や高い画質に定評があった。

 ナナオは昨年7月、液晶ディスプレイなどの表示機器(VDT=Visual Display Terminal)を使用した作業によって、目や心身に疲労やストレスを感じる症状(VDT症候群)に関する実験結果を発表した。環境や目に優しいディスプレイの開発を推進するため、実験によって実態をあぶり出したのだという。

 画質にこだわり続けたナナオが、なぜVDT症候群に着目したのか。同社の戦略について、全製品を統括する志村和秀執行役員企画部部長に話を聞いた。

■VDT症候群に興味を持った理由は。

 ディスプレイが目に与える影響について考え始めたのは、最近のことではありません。CRT時代にまでさかのぼります。きっかけはスウェーデンの雇用者連盟(TCO=The Swedish Confederation of Professional Employees)が定めた、オフィス機器の安全性などについての国際総合規格(TCO規格)を知ったことです。1980年代、欧州ではTCOの認証を取得していない機器はオフィスで使用するに値しないとされていました。スウェーデンに我々の販売代理店があったため、いち早くTCO規格について知ることができたのです。

 我々はTCO規格の最新動向を追う態勢を整えました。そこから、TCO規格に準拠することを、当社製品の標準仕様にしたのです。TCO規格の中には人間工学(エルゴノミクス)に基づいた、人に優しい機器であるという要件も含まれています。つまり、VDT症候群やエルゴノミクスに対する取り組みは、20年以上続けているのです。

■なぜ、昨年7月にVDT症候群に関する実験結果を発表したのですか。

 VDT症候群の抑止やエルゴノミクスに対する取り組みは、これまでユーザーからあまり注目されませんでした。ディスプレイで注目されるのは、どちらかと言えば輝度の高さ、言い換えれば画像がはっきり表示されるかどうかについてです。輝度が高ければ、販売店の店頭でも人々の目を引く可能性が高まります。

 しかし、昨年は洞爺湖サミットが開催され、環境に対する意識が国内外で急激に高まりました。ディスプレイの場合は、輝度を高くすると消費電力が上がり、環境に対する負荷が高まります。つまり、「輝度を下げる=環境に優しい」ことを多くのユーザーに知ってもらうのに、昨年は最適の年だったのです。

 輝度が高いと、疲労やストレス(VDT症候群)も感じやすくなります。おそらく、多くのユーザーはディスプレイを(出荷時のまま)最大輝度で使っているでしょう。しかし、実は最大輝度の状態が最も目が疲れやすいのです。洞爺湖サミットを機に、環境だけでなく、ディスプレイが人体に与える影響についても多くの人に知ってもらえると考えました。

 我々は、輝度を抑えた目に優しいディスプレイを推奨しています。輝度を下げると目に優しいだけでなく、消費電力も抑えられます。VDT症候群の抑止にも効果があるし、財布にも優しいという魅力をユーザーにアピールしています。