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 デルは2009年2月に、法人向け事業の組織を大幅に改変。対象とする法人や規模によって3つの事業部門に分けた。その一部門である公共事業本部は、5月に教育機関への導入を想定したネットブック「Latitude 2100」を発表している。

 デルの北アジア地域 公共事業本部 統括本部長の郡 信一郎氏と、公共事業マーケティング本部 クライアントソリューションマーケティングマネージャーの垂見 智真氏に、組織改編の意義や公共事業分野に対する戦略、教育現場における電子化の状況などを聞いた。

■法人向け事業の組織改変をした経緯は

郡氏:以前は、最高経営責任者であるマイケル・デルが日本を含むアジア、北中南米、欧州・アフリカの3つの地域を統括して事業を展開していた。だが、このような集約型では事業全体を隅々まで目を配るのは難しい。そこで昨年、全地域におけるコンシューマ向け事業を上席副社長に一任した。同時にコンシューマー向けの製品開発部門を切り離した。コンシューマー向けの専任者を配属したことで、事業全体を見渡せるようになり、市場のニーズに合致した製品開発やサポート体制の構築ができるようになった。こうした背景もあり、2010年度(2009年2月)には法人向け事業でも組織変更に着手した。具体的には、公共機関、大企業、中小・SOHOという3部門に分けて、それぞれ専任者を配置した。先にコンシューマー向けの事業から手を付けたのは、売り上げの割合や業績への影響が大きいためだ。

■教育機関向けのネットブック戦略は

垂見氏:米国で実施したネットブックに関する調査がある。その調査によると「5年後は、教育機関向けパソコンの出荷台数のうち、約3割がネットブックで占める」というものだった。登場間もないネットブックが、教育機関で信頼性を勝ち取るには、値段だけでなく、設計思想や機能について十分な説明をして理解してもらうことが肝要だ。

■企業ではネットブックの導入が進んでいない

垂見氏:企業にネットブックの導入が進まないのは、OSの縛りによるところが大きい。現状は、Windows XP Professionalのように企業内ネットワークのドメインに入れるOSが、ネットブック向けには提供できない。ただ、Latitude 2100ではマイクロソフトの承諾をもらい、教育機関に限りWindows XP Professionalを導入できるようにした。

郡氏:教育現場では、教師と生徒の対話が主であり、パソコンは資料を調べたり、データを集計するなど補完的な役割に過ぎない。こうした用途であればネットブックで十分だ。

■教育機関の電子化は諸外国と比べてどうか

郡氏:市場としてみると、まだまだ小さいのが事実。紙の教科書の電子化はほとんど進んでいない。また、教育コンテンツも不足している。英語圏では教師自身が教育コンテンツを作成して、それを基に教えている例が少なくない。米国や英国にある一部のソフトウエアベンダーでは、教師同士で作成したコンテンツを共有できるようにしたコミュニティサイトを構築している。コンテンツ数は数万にも及んでおり、ベンダーが用意できる数をはるかに上回る。残念ながら、国内ではこうした事例はほとんど見られない。

■今後、国内の教育機関で電子化はどう進展するか

郡氏:確かに、補正予算が組まれるなど教育機関の電子化は着実に進んでいる。もっとも、実際にどのように電子化を実現するかは、各地域の教育委員会などの裁量に委ねられている。そのような状況に置かれている現場の担当者としては、海外の事例や最先端の考えを参考にしたいという思いが強いようだ。ある国内の教育関係者は、米国本社の役員が来日した際に、米国教育機関における電子化の現状を尋ねていた。国内の教育機関における電子化は、まだ手探りの状況だと言えるだろう。